摂籙(せつろく)家ともいう。摂政,関白を出す家。藤原氏北家出身の良房が初めて摂政となり,ついでその嗣子基経が摂政・関白になって以来,この嫡流の子孫が相ついで摂関に補任された。平安時代末,鳥羽天皇の践祚に当たって,天皇の外戚であった大納言藤原公実が,外戚でない摂政はいないとして,前代の関白だが外戚関係がない藤原忠実を退けてみずから摂政に就任しようとしたが,代々摂籙の子孫でない者が摂政になった例はないとしてその願いを排した。以来,天皇と外戚関係はなくとも,代々摂政・関白の子孫が摂政・関白に補任されることになり,鎌倉時代の初め,摂関家が,近衛,九条,二条,一条,鷹司の5家に分立したのちも,摂政・関白はこの五摂家より必ず補任されることになった。明治維新のさい,摂関制が廃止されたが,この5家はその後も華族の筆頭の位置にあって,1884年の華族令制定で,公爵を授けられた。
執筆者:米田 雄介
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執柄家(しっぺいけ)とも。摂政・関白の職を独占して世襲した家柄。清和天皇の外祖父であった藤原良房が摂政に,つづいて養子基経が摂政・関白に任じられて以後,その子・孫・曾孫の世代で争いがあったものの,結局は道長が天皇3代の外祖父としての地位を確立し,その子頼通の頃に家格としての摂関家が確立したものと思われる。院政期の近衛・松殿・九条の3家鼎立をへて,鎌倉初期に近衛・鷹司(たかつかさ)・九条・二条・一条の五摂家が成立した。
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…摂関家に人身的に従属し,摂関家の政所をはじめ御服所,細工所等において宿直,警固,掃除等の番役に従事したもの。大番舎人の保有する屋敷地,在家,田畠を大番領といった。…
…公卿,廷臣らの所領の総称。平安中期以降,公家社会の階層分化がしだいに進み,さらに摂関家以下の家格・家職が形成されるにともない,それぞれの所領の形態も多様化した。中世の摂関家(摂家)の所領は,摂関職,氏長者の地位とともに各家の間を伝領される膨大な〈渡領〉と,各家固有の〈家領〉とに分かれるが,その家領も主要部分は,本家として一定の得分を収取する所領と,本所として荘務を進退する所領とから成り,皇室領をはじめ,他家の所領の下級所職を知行することはない。…
…さらに律令で家司を置くことになっている貴族家では質的,量的に拡充が図られているのである。家政機関の規模は貴族家の優劣に応じ大小があるが,最大の発達を示す摂関家の場合を《拾芥抄》についてみると,執事,年預,弁別当,文殿,蔵人所,侍所,御厩,御随身所,政所,御服所,進物所,膳部が列挙されており,それぞれに家司があてられたのである。とくに重要なのは政所(まんどころ)で,荘園関係の事務を扱い荘民に政所課役や政所公事を課し,その徴収事務を管掌し,荘民たちの間に紛争事件がおきると裁判事務を行い,国郡や他貴族家との交渉に当たるなどした。…
※「摂関家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
働き手が自分の働きたい時間に合わせて短時間・単発の仕事に就くこと。「スポットワーク」とも呼ばれる。単発の仕事を請け負う働き方「ギグワーク」のうち、雇用契約を結んで働く形態を指す場合が多い。働き手と企...
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