中通(読み)なかどおり

精選版 日本国語大辞典 「中通」の意味・読み・例文・類語

なか‐どおり ‥どほり【中通】

[1] 〘名〙
① 中央部の往来。本通りと裏通りとの間の往来。
※志都の岩屋講本(1811)下「丁ど気海の穴は、其の左右の腎の臓の中間(ナカ)通りに当って居て」
※当世少年気質(1892)〈巖谷小波〉二「仲通(ナカドホ)りの骨董屋」
② 中間に位置するもの。
(イ) 上等と下等との間。中級。中等中位。中程度。ちゅうどおり。
浮世草子・好色破邪顕正(1687)下「今は下々の着る事かたく制禁なれば、ならず。其中どをりにも、官録にしたがひ、次第に結構をば尽さず」
(ロ) まんなか。
※寒川入道筆記(1613頃)愚痴文盲者口状之事「中通りの折目をもかまひなくひろげて」
③ 近世初期の遊里で、大夫の次の位置にある遊女、すなわち天職異名
※評判記・色道大鏡(1678)一「中通(ナカドヲ)り。天職をさしていふ」
※浮世草子・懐硯(1687)二「中通(なかトヲ)りの女は経帷子を縫ふなど」
※滑稽本・和合人(1823‐44)三「中通(ナカドホ)りの引込(ひっこみ)だナ」
[2] 福島県中央部の地域名。阿武隈川久慈川流域を占め、福島・二本松郡山須賀川白河田村の六市と伊達・安達岩瀬・西白河・東白川石川・田村の七郡とから成る。

ちゅう‐どおり ‥どほり【中通】

〘名〙
① 上等と下等の中間。よくもなくわるくもないこと。ちゅうぐらい。中等。なかどおり。
※浮世草子・武道伝来記(1687)一「我身は中通(ドヲ)りの女ぶんに成べし」
歌舞伎役者の階級。名題役者のつぎ、三階級あるうちの中位のもの。江戸での呼称で、上方では中役者といった。二流役者をいう場合もある。板の間。〔役者論語(1776)〕

なか‐どおし ‥どほし【中通】

〘名〙 釣り竿の一つ。手元に糸巻をつけ水深に応じて、糸を調節し、竹のしんを貫いて糸を竿先から出すようにした竿。はぜ・しろぎす竿など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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