…水銀はこの朱砂の鉱脈の表面から汗状に吹き出した自然水銀として得られるほか,朱砂を熱して水銀を気化させて得る方法がある。また奈良の大仏には金めっきするために大量の水銀アマルガムが消費されたが,〈真金吹く丹生のまそほの色に出て……〉という《万葉集》巻十四の東歌もこのめっき法をうたったものとされている。 水銀は適量を用いれば新陳代謝を促す作用をもつため,中国では丹砂から作った丹薬は不老長寿の薬として道士の秘術とされたが,一方で永遠の生命を得るべくこの延命の薬をのみすぎて死亡した皇帝や貴族も多かったらしい。…
※「丹生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」