改訂新版 世界大百科事典 「二項級数」の意味・わかりやすい解説
二項級数 (にこうきゅうすう)
binomial series
実数α≠0と整数n≧0に対して,
と定義する(αがn以上の自然数Nのときはは組合せの数nCnである)。このとき関数f(x)=(1+x)αのx=0を中心とするテーラー展開は次のようになる。
ただし,右辺の級数は一般には-1<x<1で収束し,α>0ならば-1≦x≦1で収束,-1<α<0ならば-1<x≦1で収束する。とくにαが自然数ならば,(2)の右辺でn>αなる項は0になることが(1)からわかるから,(2)はすべての実数xで成立し,これはふつうの二項定理である。一般のαに対する(2)の右辺の級数を二項級数といい,(1)を一般化された二項係数という。(2)のxを複素数zで置き換えた級数も二項級数といい,この級数の収束半径は1である。
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報