日本大百科全書(ニッポニカ) 「交感神経遮断薬」の意味・わかりやすい解説
交感神経遮断薬
こうかんしんけいしゃだんやく
交感神経抑制薬あるいはアドレナリン遮断薬、抗アドレナリン作動薬ともいい、交感神経の受容体部位で伝達物質と競合して、その機能を遮断する薬物をさす。交感神経の受容体にはα(アルファ)受容体とβ(ベータ)受容体の2種があり、遮断薬にもα遮断薬とβ遮断薬がある。α遮断薬の代表的なものとしては麦角(ばっかく)アルカロイドがあり、またイミダゾリン、フェントラミン、フェノキシベンザミンなどがあったが、フェントラミンが褐色細胞腫(しゅ)の診断に使用されるほかは、あまり有用なものはなかった。しかし、プラゾシンが開発されたことにより、血圧降下剤としての用途が開かれた。交感神経遮断薬の主流は急速に発展したβ遮断薬であり、狭心症の予防・治療、不整脈の治療に繁用され、さらに血圧降下剤の第一選択薬と評価されるまでになった。プロプラノロールをはじめとして、アルプレノロール、ピンドロール、ブプラノロール、ブフェトロール、オクスプレノロール、インデノロール、カルテオロール、ブクモロール、アセブトロール、チモロール、メトプロロールなどがある。そのほかα・β遮断薬であるラベタロール、ブニトロロールなどが血圧降下剤として開発され、治療に用いられている。
[幸保文治]