人工腟(読み)じんこうちつ(その他表記)artificial vagina

改訂新版 世界大百科事典 「人工腟」の意味・わかりやすい解説

人工腟 (じんこうちつ)
artificial vagina

家畜人工授精を行うときに,種雄畜から精液を衛生的かつ多量に採取する目的で考案された器具。術者が手に持つ横取用と擬雌台に装着して用いる擬雌台用がある。人工腟は陰茎を導入して射精させるもので,家畜種により大きさならびに多少のくふうが施してあるが原理はいずれも同じである(図)。硬質ゴムまたはプラスチックの外筒の内側に,脱着可能なゴムの内筒(A)を装着して,両者間隙に40℃前後の温湯を人工腟容積の70~80%入れ,さらに空気を入れて陰茎挿入時に圧迫感を与えるようにする。精子は15℃以上も温度が急激に降下すると温度衝撃を受けて生存性が著しく短縮される。そこで,別の内筒(B)に精液採取管を取り付け,内筒(A)の内側に入れて精液採取管も保温できるようにしておく。採取に際しては内筒(B)の内部に粘滑剤を塗布して種雄畜に不快感を与えないようにする。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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