人民裁判所(読み)じんみんさいばんしょ(英語表記)Volksgericht

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人民裁判所」の意味・わかりやすい解説

人民裁判所
じんみんさいばんしょ
Volksgericht

一般に人民大衆の陪審で行われる裁判所をさすが,フランク時代において国王裁判所に対する完全自治的なフンデルシャフト裁判所に限定していわれる。各フンデルシャフトで,名望のある人々のなかから選ばれた1名の首長 thunginus,centenariusが6週間ごとに会期3日間の定期裁判集会を,その中間期に必要に応じて臨時裁判集会を開廷した。元来,自由人であればなんぴとも裁判集会に出席しなければならなかったが,のちには臨時裁判集会には出席する必要はなくなった。定期裁判集会では,すでにフランクの帝国建設時代に,ラヒンブルゲン Rachinburgen(Ratbürgen)と呼ばれる少くとも7名の常置判決発見人 (のちの参審員 Schöffenの先駆者) が首長の法 (判決) の質問に対し,これを発見し,出席した自由人が立会人としてこれに賛同する形がとられた。6世紀以後,首長の地位グラーフに移ったことから,人民裁判所はその自治的性質を喪失していった。

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世界大百科事典(旧版)内の人民裁判所の言及

【ソビエト連邦】より

…軍事産業の民需への転換もペレストロイカの柱となった。【下斗米 伸夫】
【司法】
 ソ連邦の裁判所は,ソ連邦最高裁判所と連邦を構成する各共和国の裁判所(共和国最高裁判所,州(地方)裁判所,人民裁判所)および軍法会議からなっていた。ソ連のすべての裁判官は選挙によって任命され,彼らは選挙人または自分を選出した機関に対し報告義務を負い,リコールされうる立場にあった。…

※「人民裁判所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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