付無(読み)つきない

精選版 日本国語大辞典 「付無」の意味・読み・例文・類語

つき‐な・い【付無】

〘形口〙 つきな・し 〘形ク〙
① 寄りつくすべがない。てがかりがない。頼りない。おぼつかない。
古今(905‐914)雑体・一〇四八「あふことの今ははつかになりぬれば夜ふかからでは月なかりけり〈平中興〉」
② 似合わしくない。不相応である。ふさわしくない。不都合である。つきともなし。つきもない。
※竹取(9C末‐10C初)「おや君と申すともかくつきなき事を仰給事とことゆかぬものゆゑ、大納言をそしりあひたり」
③ 心にそわない。気にくわない。不愉快である。不都合である。心づきなし。つきもない。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「いかにかく籠りおはします。つきなくもおもほさるらん」
つきな‐げ
〘形動〙
つきな‐さ
〘名〙

ずき‐な づき‥【付無】

〘形動〙 (「ずき」は「気づき」の略、「な」は形容詞「ない」の語幹安永一七七二‐八一)から天保一八三〇‐四四)にかけて流行した語)
① 気がつかないこと。
談義本・養漢裸百貫(1796)三「何にもしらず、ずきなで調子合し」
② 気がついても知らないふりをすること。知らん顔。ずきなし。
滑稽本大師めぐり(1812)上「おどれがくひくさった事はづきなで、わしにかづけくさる」
③ 気をつかわないでもよいこと。気を置かないですむこと。ざっくばらん。大阪地方などで用いる語。

つき‐も‐な・い【付無】

〘形口〙 つきもな・し 〘形ク〙
① 似合わしくない。いわれもない。不都合である。つきない。
史記抄(1477)三「厲王の彘に流されうとての歳に発而観えたぞ。つきもない事をしたぞ」
② そっけない態度である。ぶっきらぼうである。
浄瑠璃・東山殿子日遊(1681)四「童(わらは)内へつかつかと入、つきもなくぞ言ひたりける」
つきもな‐げ
〘形動〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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