代謝拮抗薬(読み)たいしゃきっこうやく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「代謝拮抗薬」の意味・わかりやすい解説

代謝拮抗薬
たいしゃきっこうやく

生物の代謝過程においてそれと拮抗する薬物。代謝拮抗剤。一般的に代謝物と化学構造が似通っており、誤って代謝過程に繰り込まれ、それ以上の代謝を阻止させるものである。病原微生物や悪性腫瘍(しゅよう)細胞(癌(がん)細胞)などの発育阻止、死滅を機序(メカニズム)とした化学療法剤として使用される。微生物の発育に必要な葉酸を構成するパラアミノ安息香酸に対するサルファ剤がその例であり、抗悪性腫瘍剤として繁用されているものに、葉酸拮抗薬のメトトレキサート、核酸の構成成分であるプリン、ピリミジンに拮抗するメルカプトプリンチオイノシンシトシンアラビノシド(シタラビン)、フルオロウラシル(5‐FU)、テガフール、塩酸アンシタビン、カルモフール、エノシタビンなどがある。

[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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