ピリミジン(読み)ぴりみじん(英語表記)pyrimidine

翻訳|pyrimidine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピリミジン」の意味・わかりやすい解説

ピリミジン
ぴりみじん
pyrimidine

1・3‐ジアジンのこと。水に溶けやすい塩基性化合物で、分子量は80.1。生物にとって重要なのはその誘導体であり、ピリミジンおよびその誘導体を総称してピリミジン塩基とよぶことがある。これらは生体内で核酸およびヌクレオチドの構成成分となっている。とくに含まれる量も多くて重要なピリミジン塩基は、シトシンウラシルチミンの3種である。チミンはおもにDNAデオキシリボ核酸)に含まれ、ウラシルはRNAリボ核酸)に、シトシンはDNAとRNAの両方に含まれている。DNAの二重螺旋(らせん)構造のなかで、チミン、シトシンのピリミジン塩基は、それぞれに相補的なプリン塩基水素結合によって塩基対(つい)を形成している。チミンはアデニンと、シトシンはグアニンと塩基対を形成する。また、ウラシルはDNAには含まれていないが、アデニンと塩基対をつくることができる。ピリミジン塩基とプリン塩基の間のこのような塩基対をつくる性質は、核酸が複製されたり転写されたりするために非常に重要である。これら3種のほかに、核酸には5-メチルシトシン5-ヒドロキシメチルシトシンなどのピリミジン塩基も微量存在する。

[笠井献一]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピリミジン」の意味・わかりやすい解説

ピリミジン
pyrimidine

ピラジン異性体。麻酔性臭気をもつ固体。融点 21℃。沸点 123.5~124℃。水によく溶ける。塩化水銀 (II) と水に溶けにくい分子化合物をつくる。ピリミジンおよびその誘導体はピリミジン塩基といわれ,シトシン,ウラシル,チミンなどとなり,ヌクレオチドやヌクレオシドを構成し,核酸成分として生化学上非常に重要。

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