日本大百科全書(ニッポニカ) 「休明光記」の意味・わかりやすい解説
休明光記
きゅうめいこうき
初代の蝦夷奉行(えぞぶぎょう)・松前(まつまえ)奉行を務めた羽太正養(はぶとまさやす)の著。在任中の「蝦夷御処置」を後世に伝えるために著したもので、当時の行政を知るうえで第一級の資料である。「休明」は「君徳」の意。1799~1807年(寛政11~文化4)に至るまでの蝦夷地処置を明らかにした本編9巻と、その参考となる文書類を集めた附録11巻、附録一件物3巻、附録別録4巻の計27巻からなる。1807年択捉(えとろふ)事件の責をとり正養は退任、やむなく筆を折ったが、『休明光記』に漏れたことなどを集めた『休明光記遺稿』が淡斎如水(たんさいにょすい)(蛯子吉蔵)の手によって1854年(安政1)に著されている。
[山崎節子]
『『新撰北海道史 第5巻 史料1』(1936・北海道庁)』