新撰北海道史(読み)しんせんほつかいどうし

日本歴史地名大系 「新撰北海道史」の解説

新撰北海道史
しんせんほつかいどうし

七冊 北海道庁 昭和一一―一二年刊

解説 「北海道史」編集は中断後に別体制で続行されたが再び中絶。昭和六年、中世史家で「福井県史」「滋賀県史」の編纂でも知られた牧野信之助を編纂長に迎え、新体制で第三次事業を開始し、同一二年終了した。新計画では第八巻地図が予定されたが未刊に終わり、代りに通説中に多くを挿入した。通説一は「北海道史」第一の編目・内容を踏襲したが、文章を平易にし図版の増補に努めた。通説二も一部「北海道史」原稿によったが、既存開拓使・三県時代史料により九〇〇頁の大冊にまとめた。通説三は同時代史であり、明確な時期区分はなく、部門別分野別の編集形式をとった。全一二章・一千七六頁のうち、第三章拓殖、第四章移住民の増加と聚落・都市の発展の二章のみで四〇〇頁、全体の三六パーセントをしめる点などに特色がある。史料一は松前藩および幕府の基本史料を、史料二は明治以降の基本史料を収録し、ともに広く利用された。「北海道史」と「新撰北海道史」により以後の道史の原型が出来上った。

構成 第一巻概説、第二巻通説一(古代―後幕領時代)、第三巻通説二(開拓使時代及びその前後)、第四巻通説三(北海道庁時代―大正末期まで)、第五巻史料一(福山秘府、休明光記・同附録・同遺稿、蝦夷地御開拓諸御書付諸伺書類)、第六巻史料二(開拓使顧問ホラシ・ケプロン報文、北海道三県巡視復命書、岩村長官施政方針演説書、第一期拓殖事業計画説明書、北海道国有未開地大地積貸下貸付表ほか)、第七巻管轄略譜・年表統計索引・編纂略程。平成二―三年全巻復刻。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報