国指定史跡ガイド 「伝飛鳥板蓋宮跡」の解説
でんあすかいたぶきのみやあと【伝飛鳥板蓋宮跡】
奈良県高市郡明日香村岡にある宮殿跡。飛鳥川東岸にある現在の岡集落北方の平坦地にあり、6世紀末から7世紀後半まで飛鳥の地に営まれた飛鳥宮のうち、板蓋宮は皇極天皇が643年に遷都し、645年の大化の改新の舞台にもなった宮である。この地域では1959年(昭和34)以来継続的に調査が実施されており、掘立柱建物、塀、石組みの溝、石敷き遺構など、多くの遺構遺物の検出をみている。名称として板蓋宮跡となっているが、この前には飛鳥岡本宮が、この後には後飛鳥岡本宮・飛鳥浄御原宮がほぼ同じ場所に造営されている。その中心部とみられるのは、この平坦地南西寄りの部分で、東西約130m、南北230m以上と推定される回廊をめぐらす一画。整然と殿舎が配置され、7世紀後半のわが国の都城制の発展をみるうえで、きわめて重要とされ、1972年(昭和47)に宮殿内郭東北部の大井戸を中心とした一画が国の史跡に指定された。その後、建物遺構にもとづいて、往時の建物などの状況を植栽で、柱穴をコンクリート立柱でそれぞれ明示し、建物・大井戸周囲の玉石敷は復元・整備された。1983年(昭和58)には内郭南半で2ヵ所の追加指定があり、保存処置が講じられた。近畿日本鉄道橿原線ほか橿原神宮前駅からコミュニティバス「岡天理教前」下車、徒歩約3分。