化学辞典 第2版 の解説
充填塔のローディング速度
ジュウテントウノローディングソクド
loading velocity of packed column
気体と液体とを向流で流す充填塔に供給するガス流速のある限界値をいう.充填塔の塔頂より流下する液体の流量を一定に保ち,塔底より供給するガス流速を増していくと,ガス流速の小さい範囲では,充填物表面を膜状に流下する液体の滞留量(ホールドアップ)は,ほとんど変化しないが,あるガス流速に達すると急激に増加しはじめる.このガス流速をローディング速度とよぶ.さらに,液体の流下がガスによってまったく止められてしまう点のガス流速をフラッディング速度という.一定の液流下量についての充填塔の上下端の圧力損失とガス流速とを両対数でプロットしてみると,二つの屈曲点が現れ,そのときのガス流速がそれぞれローディング速度,フラッディング速度である.ローディングあるいはフラッディング現象は,気-液相系に限らず,充填塔またはスプレー塔における液-液相系の向流操作でもみられる.ローディング速度は,装置構造,流体の粘度や密度などの物理的性質,2種類の流体の流速比により変化するものであるが,充填塔におけるガスと液体との向流接触操作では,このローディング速度付近で操作を行うと,装置の経済上,有利なことが多い.そこで,実際の装置設計では,ローディング速度を少し下まわる流速に設定している.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報