化学辞典 第2版 「向流接触操作」の解説
向流接触操作
コウリュウセッショクソウサ
countercurrent contacting operation
二つの流体を直接または壁を隔てて接触させて,熱移動または物質移動を行わせるとき,両者の流れの方向が逆向きの場合を向流接触操作といい,両者の流れの方向が同じである場合を並流接触操作という.一方の流体が,他方の流体と十字の形,すなわち,互いに直角に接触する場合を十字流接触操作とよぶ.並流接触操作では,装置入口で熱または物質の移動のための推進力が最大となり,しだいに減少し,出口で最小となる.熱交換器の場合には,高温流体の出口温度は低温流体の出口温度より低くなることはない.一方,向流接触操作では,推進力(この場合は温度差Δt)は装置内で比較的均一となり,高温流体の出口温度が低温流体の出口温度より低くなる場合もある.受熱流体の入口温度を一定とすれば,受熱流体は向流で加熱するほうが並流で加熱する場合より高温度に達しうる.したがって,向流接触操作のほうが同一熱量を除去するのに少量の冷却流体でよい.熱交換,ガス吸収,液-液抽出,蒸留,乾燥などの諸操作においては,温度差あるいは濃度差などの推進力の点からは,向流接触操作が並流接触操作より有利となるため,向流で操作する場合が多い.しかし,一方の流体の濃度または温度が装置内でほとんど一定である場合には,推進力の点からは向流と並流との相違はなくなり,充填塔などでは,操作条件を広い範囲で選ぶことのできる並流接触操作が有利となる場合もある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報