精選版 日本国語大辞典 「先立」の意味・読み・例文・類語
さき‐だ・つ【先立】
[1] 〘自タ五(四)〙
① 前に立つ。先頭に立つ。さきになる。
※太平記(14C後)一一「塩冶判官高貞は、千余騎にて、一日先立て前陣を仕る」
② まっさきに起こる。他のことより先に起こる。第一となる。さきんずる。
※万葉(8C後)七・一一二九「琴取れば嘆き先立(さきだつ)けだしくも琴の下樋に嬬(つま)や隠(こも)れる」
③ 先に死ぬ。
※斎宮女御集(985頃か)「おもひきやかすみもはてぬかりのよにさきだつくもとならんものとは」
※源氏(1001‐14頃)桐壺「限りあらむ道にも、後れさきだたじと契(ちぎ)らせ給ひけるを」
[2] 〘他タ四〙 先にする。
[3] 〘他タ下二〙 ⇒さきだてる(先立)
さき‐だ・てる【先立】
〘他タ下一〙 さきだ・つ 〘他タ下二〙
① さきだたせる。先に行かせる。先頭に立たせる。
※源氏(1001‐14頃)浮舟「人の家に、ゐておはせんとかまへたりければ さきたてて遣はしたりける」
② 第一にする。主とする。
※コンテムツスムンヂ(捨世録)(1596)一「タトイ ヨキココロアテヲ saqidate(サキダテ) ゼンサヲ ナスト ユウトモ」
③ 先に死なせる。
※菟玖波集(1356)恋「あはれをだにも思ひ知らせむ 恋しなむ命を人に先たてて〈源親光〉」
さい‐だ・つ【先立】
(「さきだつ(先立)」の変化した語)
[1] 〘自タ四〙 先に立って物事をする。
※書紀(720)雄略九年七月(前田本訓)「爾して乃ち赤駿〈略〉駆(はしり)騖(サイタツ)迅於滅(ときかたちほるもかにして)没(う)せぬ」
※落窪(10C後)二「中納言殿の車は疾く詣で給ひければ、さいだちゆく」
[2] 〘他タ下二〙 さきだたせる。先に物事をさせる。
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