日本大百科全書(ニッポニカ) 「具志川城」の意味・わかりやすい解説
具志川城
ぐしかわじょう
沖縄県のうるま市、久米島(くめじま)町および糸満(いとまん)市にある城跡で、3所ともに同名の「具志川城」の名でよばれている。グスクの代表的な遺構である。このうちうるま市具志川にある城は、由来は不明であるが、中国製陶磁器など貴重な遺物が採集されている。久米島町字仲村梁のものは、伝承によれば、マタフツ按司(あんじ)の手で創建されたが、その長男マカネコエ按司のときにマニコタルなる人物に城を奪われ、マニコタルが具志川按司を称して強大となり、やがて首里(しゅり)の王権に反抗したため、16世紀初期に国王軍によって滅ぼされたという。糸満市字喜屋武(きゃん)にある城は、マニコタルに追放されたマカネコエ按司が建造したため、同名の城になったというが、信ずるに足らない俗説である。三者に共通しているのは海べりの崖(がけ)上および小丘上に立地していることで、名称の共通性とともに、グスクの解明に重要な問題を投げかけている。
[高良倉吉]