日本大百科全書(ニッポニカ) 「凌濛初」の意味・わかりやすい解説
凌濛初
りょうもうしょ
(1580―1644)
中国、明(みん)末の戯曲小説家、批評家。字(あざな)を玄房、号を初成、別号を即空観主人といい、烏程(うてい)(浙江(せっこう)省)の人。その編になる『拍案驚奇(はくあんきょうき)』『二刻拍案驚奇』(二拍)は馮夢龍(ふうぼうりゅう)の「三言」を継ぐ話本集として著名であり、江戸の読本(よみほん)にも影響がみられる。戯曲としては『虬髯翁(きゅうぜんおう)』『北紅払(ほくこうふつ)』などがあるが、『西廂記(せいそうき)』に校注を施し、朱墨套印本(しゅぼくとういんぼん)として刊行したことでも知られる。徐州の判在任中、李自成(りじせい)軍の攻撃を受け、血を吐いて死んだ。
[大塚秀高]