内科学 第10版 「出血時間」の解説
出血時間(血小板機能検査)
皮膚に一定の切創を加え,肉眼的に止血するまでの時間を測定する検査法.Duke法は耳朶に切創を加える方法で簡便ではあるが,その切創の大きさ,皮膚の緊張度,皮膚温の変化に伴う毛細血管の収縮により検査値が変動し,再現性に問題がある.Ivy法,特にtemplate-Ivy法は,上腕に血圧計の駆血帯を巻き一定の静脈圧を加えることにより毛細血管収縮の影響をなくし,さらに型板(template)を用いることにより前腕内側部の切創の形成を一定にするなど改良を加えた方法である.出血時間は,血管損傷部位への血小板による止血栓形成能を反映しており,その延長は,血小板の量的・質的異常あるいは血小板機能に関与する血漿因子(フィブリノゲンやvon Willebrand因子など)の異常,あるいは血管・血管周囲結合織の異常により生じると考えられる.一方,血友病では出血時間の延長は認めない.[冨山佳昭]
■文献
尾崎由基男:血小板系検査.図説 血栓・止血・血管学−血栓症制圧のために(一瀬白帝編), pp750-755,中外医学社,東京,
2005.高見秀樹,玉井佳子:出血時間測定.血小板生物学(池田康夫,丸山征郎編),pp719-726,メディカルレビュー社,東京,2004.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報