改訂新版 世界大百科事典 「函淵植物群」の意味・わかりやすい解説
函淵植物群 (はこぶちしょくぶつぐん)
北海道中軸部に分布する上部白亜系函淵層群(8000万~6500万年前)に含まれる化石植物の総称。植物化石は,ケイ化木,ケイ化葉,葉,花粉・胞子などからなり,そのうちソテツ類のケイ化葉化石は1909年M.C.ストープス,ケイ化木の類は10年ストープス,藤井健二郎,葉化石は25年遠藤誠道,また花粉・胞子化石は64年高橋清によって研究がなされた。葉や茎の化石は,シダ類4種,ソテツ類7種,球果類2種,被子植物4種などがあるが,植物群全体の姿はまだ十分に明らかにされていない。これらのうちキカデオイデアは茎の組織がよく保存されているベネチテス目(ソテツ綱)の化石で,日本では数少ないこの種の化石のうちの一つである。
ソテツ類のニルソニアがかなり豊富であることから,函淵層群の中で,植物化石を含む地層をニルソニア層と呼ぶこともある。
執筆者:木村 達明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報