分光法(読み)ぶんこうほう(その他表記)spectroscopy

知恵蔵 「分光法」の解説

分光法

光を始めとする電磁波の中で、特定の波長のものが物質吸収放出される。その吸収や発光(放出)の強度を波長、または周波数に対して記録したものをスペクトルという。スペクトル(どの波長の光をどれだけ吸収するか)は個々の物質特有のもので、解析によってその物質が何かを知ることができる(定性分析)。また、吸収される光の強度はその物質の量に比例し、強度を調べれば、その物質の量(濃度)がわかる(定量分析)。さらに、スペクトル解析により、その物質の反応ダイナミクス(変化の過程)の情報も得られる。近年、果物の糖度の測定や星間分子の同定、大気環境の測定にも用いられ、X線を用いたレントゲン撮影や核磁気共鳴法(NMR)を応用したMRIなどに応用されている。ナノテクノロジーやナノサイエンスの根幹を支えているといっても過言ではない。

(市村禎二郎 東京工業大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の分光法の言及

【干渉分光法】より

…プリズムを分散素子として用いるものを除くすべての分光手法は光の干渉を利用している。例えば回折格子による分光法は多数の細隙(さいげき)による光の回折効果と回折した光の間の干渉を用いており,結果的には回折効果がスペクトルを幾何学的に広範囲に分散させる役割を果たしている。この意味から,干渉分光法とは光の干渉効果のみで分光の原理が説明できる手法であるといってよい。…

※「分光法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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