剣(拳)玉(読み)けんだま

改訂新版 世界大百科事典 「剣(拳)玉」の意味・わかりやすい解説

剣(拳)玉 (けんだま)

世界的によく知られている木製玩具。15cmほどの棒の先端を剣のような形にとがらせ,他の端は小さな皿型にくぼみをつけ,棒には底に穴のあいた木球をひもで結びつけてある。そのひもを振って反動をつけながら,球を剣のさきにさしたり,皿に入れたりして遊ぶ。発祥は中国といわれる。16世紀ころからヨーロッパにも,これに似たカップ・アンド・ボールという遊戯具があった。明治初年に日本で学制が布かれたころ,これが一種の教育玩具として紹介されたことがあるが,日本には江戸時代すでに中国から渡来していた。《嬉遊笑覧》には1777-78年(安永6-7)ころ拳玉という鹿角製のものができ,酒席の座興に用いたとある。大正初期には〈日月(じつげつ)ボール〉の名で,十字形に三つの皿を棒につけた剣玉が登場。昭和初期にかけて子どもの流行玩具となった。現在東北地方や神奈川県などでつくられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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