副腎ステロイド合成異常症

内科学 第10版 の解説

副腎ステロイド合成異常症(副腎皮質)

定義・概念
 副腎ステロイド合成異常症とは副腎皮質ステロイドホルモン合成の異常により発症する疾患群の総称である.
分類
 副腎ステロイド合成異常症は,副腎皮質ステロイドホルモン合成に必要な蛋白質あるいは酵素の欠損症(副腎皮質におけるステロイドホルモン合成経路マップをホルモン合成に必要な蛋白質および酵素とともに図12-6-20に示す),広義の先天性副腎低形成症,自己免疫性副腎機能低下症,その他に分類される(表12-6-11).副腎皮質ステロイドホルモン合成に必要な蛋白質あるいは酵素の欠損症のうち,グルココルチコイド分泌低下によるACTH分泌亢進を伴い,結果的に副腎過形成をきたす疾患群を先天性副腎過形成症(congenital adrenal hyperplasia)とよぶ(表12-6-11の*1で示した疾患).なお,副腎性器症候群(先天性副腎過形成症とほぼ同義)という診断名を用いるべきではない.患者は“性器”という言葉が含まれる診断名を蔑視的に感じるからである.
疫学
 副腎ステロイド合成異常症のわが国における推定患者数を表12-6-12にまとめた. 以下,副腎ステロイド合成異常症のうち,比較的頻度の高い4疾患について概説する.[長谷川奉延]
■文献
税所純敬,横田一郎,他:新生児マススクリーニングで発見された先天性副腎過形成症(21-水酸化酵素欠損症)の診断の手引き(1999年改訂).日児誌,103: 695-697, 1999.
柳瀬敏彦:厚生労働省「副腎ホルモン産生異常に関する調査研究班」の研究概要紹介―疫学研究を中心に―.最新医学,67: 1981-1988, 2012.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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