コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

性器 セイキ

5件 の用語解説(性器の意味・用語解説を検索)

デジタル大辞泉の解説

せい‐き【性器】

生殖器官。生殖器。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

性器【せいき】

生殖器官

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

世界大百科事典 第2版の解説

せいき【性器 genital organ】

生殖器(生殖器官)reproductive organのことで,有性生殖を行うための器官であるが,ヒトでは性器という場合が多い。以下,ヒトの性器について述べる。 ヒトの性器は性腺(生殖腺)を中心に,これに付属ないし関連する諸器官からなる。すなわち男性では睾丸(精巣)で作られた精子が副睾丸(精巣上体)から精管を経て尿道に運ばれるが,付属腺として精囊や前立腺などがあり,交接器として陰茎がある。女性では卵巣とそこで作られた卵子を運ぶ卵管と,受精卵を育てる子宮,交接器としての腟などがおもな性器である。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

せいき【性器】

(ヒトの)生殖器官。生殖器。
外性器。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

性器
せいき
genital organsgenitals

性器はヒトおよび生物において子孫の増殖をつかさどる器官で、生殖器、生殖器官ともいう。この性器の項目では、ヒトの形態的、機能的な説明を中心とし、動植物、およびホルモンの関与については「生殖器官」の項目に譲ることとする。
 性器は男女によりその構造が著しく異なっている。基本的には、生殖要素となる精子・卵子(配偶子)を生産する生殖腺(せん)、配偶子を輸送する生殖管、輸送を円滑にする付属生殖腺および交接器からなる。ヒトの性器は、発生学的に外性器(外生殖器)と内性器(内生殖器)に区別される。外性器は外部に現れている性器(いわゆる外陰部)で、おもに交接器となる。内性器は生殖機能をつかさどる器官である。[嶋井和世]

男性性器


 男性性器のうち、内性器は精巣(睾丸(こうがん))、精巣上体(副睾丸)、精管、精嚢(せいのう)および前立腺などであり、外性器は陰茎および陰嚢である。生殖要素となる精子の生産は精巣で行われる。[嶋井和世]
精巣・精巣上体・精管
精巣は陰嚢内部に収まる左右1対の器官である。形はやや圧平された楕円体(だえんたい)状で、大きさは長軸約5センチメートル、横幅約3センチメートル、厚さ約2センチメートルで、重さは8~8.5グラムである。精巣の長軸方向は上前方から下後方に傾いている。また、一般に左精巣が右精巣よりもやや低位にある。
 精巣は強靭(きょうじん)な線維性結合組織からなる白膜(はくまく)に包まれている。精巣の後縁部分の白膜は肥厚して精巣縦隔(睾丸縦隔)という塊を形成し、これから精巣内に向かって結合組織の薄板が侵入して、精巣内を200~300個の精巣小葉に区分けしている。各小葉内には、きわめて繊細な曲精細管(精細管)が充満している。この曲精細管は直径約0.15~0.25ミリメートル、長さ10~80センチメートルほどである。各小葉内では、1~4本の曲精細管が強い迂曲(うきょく)を示しながら走り、精巣縦隔に向かっている。各小葉内の曲精細管は、精巣縦隔に近づくと1本の直精細管となり、縦隔に入る。精巣縦隔内では、直精細管は互いに連絡して精巣網(睾丸網)を形成する。一側の精巣内には曲精細管が800本ほど含まれている。精子はこの曲精細管の中で生産される。精巣は、胎生期には後腹膜腔(くう)内に発生するが、出生までに腹腔内を下降し、陰嚢形成とともにこの中に入る。この下降が不完全で、途中で止まっている場合を停留睾丸とよび、性ホルモンの分泌はおこるが、精子形成が不能となる。精子形成には、体温よりも低い温度環境が必要なため、停留睾丸では精子形成ができないわけである。
 精巣上体は、全体としてほぼ三角錐体(すいたい)状を呈しており、精巣の上端から後縁に沿って付着している。精巣上体の下部は精管につながる。また、精巣網からは、15~20本ほどの精巣輸出管が出て精巣上体の上部に入る。この精巣輸出管は下行しつつ合流して、1本の精巣上体管(睾丸体管)になり、精巣上体の下端から出て精管に移行する。精管は全長約40~50センチメートルで、精巣の後縁に沿って上行し、血管、神経とともに精索を形成しながら鼠径(そけい)管を通過して腹腔内に入る。さらに精管は小骨盤の側壁に沿って後下方に向かい、膀胱(ぼうこう)の外側を回って膀胱底の後面に達する。左右の精管は平行に並び、末端部は紡錘状に膨らんで精管膨大部を形成する。膨大部の末端はふたたび細くなり、前立腺内に侵入し、精嚢からの導管と合流して射精管となる。長さ1センチメートルほどで、1対の射精管は、尿道の始部(尿道前立腺部)の精丘の部に開口する。[嶋井和世]
精嚢・前立腺
精嚢は、精管の下端の部分が外側に膨隆して、長さ3~5センチメートルの袋状になったもので、精管膨大部の外側にあり、精管膨大部とは細管で交通している。精嚢内部では、粘稠(ねんちゅう)で果糖に富むアルカリ性の分泌物が出されるが、これは精液と混じり合って精子の運動を活発にする働きをもっている。精嚢は、かつては精子の貯蔵所と考えられていたが、現在では、射精時の精子の大部分は精管内のものとされている。
 前立腺は古くは摂護腺とよばれた。学術用語のProstataの語源はギリシア語で、「前に」の意のproと、「立つ」の意のstatesが合成されたものである。つまり、前立腺が膀胱の前に位置するという考えから使われたものである。形態的には、前立腺は膀胱底の下部に接して位置し、先端を前方に向けたクリの実状をしており、大きさもほぼクリの実大である。尿道は、この腺の中央よりやや前の部分を貫通している。前立腺の内部は分岐胞状管状腺組織で構成され、アルカリ性で乳白色の前立腺液を分泌する。この液は精子の運動を活発にする役割をもつほか、精液臭のもとともなっている。老人にみられる前立腺肥大は、尿道を圧迫するため、排尿困難を生じやすい。前立腺は、直腸から指を5センチメートルほど奥に入れると触れることができるため、前立腺の状態は指診で容易に診断することができる。前立腺内には両側に二十数本の導管があり、尿道に開口している。また、前立腺の下方には、骨盤底をつくる筋肉層があり、その内部には1対の尿道球腺(クーパー腺)がある。尿道球腺はエンドウ豆大で、アルカリ性、粘液性の分泌物を出し、尿道(海綿体部)に導出される。これらの腺は男性のみに存在する副生殖腺である。[嶋井和世]
陰茎・陰嚢
外性器の陰茎は交接器であるとともに、泌尿器の一部となっている。ラテン語の学名Penisは動物の「尾(ぶら下がっている)」の意味である。俗に男根ともいう。陰茎は恥骨部で体表から突出している。内部には尿道を鞘(しょう)状に囲む尿道海綿体組織があり、その背側方に1対の陰茎海綿体組織がある。これらの組織は皮膚によって包まれている。陰茎は、恥骨前面から出て、陰茎背部に付着している陰茎堤靭帯および陰茎ワナ靭帯によってつり下げられている。陰茎の先端は膨大となり、この部分を陰茎亀頭(きとう)とよぶ。陰茎亀頭の先端には尿道が開口している(外尿道口とよぶ)。陰茎亀頭では皮膚がひだ状となり、陰茎亀頭を覆っている。このひだを包皮とよぶ。包皮が亀頭を完全に覆っている状態を包茎といい、小児の場合では、この状態が普通である。亀頭には、とくに知覚神経終末が豊富に分布し、きわめて敏感な性感帯をなしている。亀頭の刺激は仙髄の勃起(ぼっき)中枢に伝えられ、その興奮は陰茎海綿体神経によりさらに陰茎海綿体に伝えられると、大量の血液が流入し、陰茎の充血・硬直がおこり、陰茎の勃起となる。陰茎の勃起は前立腺、精嚢、膀胱などからの刺激でもおこる。日本人(16~70歳)の陰茎の平均の長さは8.62センチメートル(田中友治(ともじ)による)という。
 陰嚢は腹部から続く皮膚で、袋状を呈し、内部には精巣、精巣上体および精索の一部が入っている。陰嚢の皮下組織には陰茎と同様に脂肪組織がなく、肉様膜とよぶ薄い平滑筋層が発達していて皮膚と密着している。この筋層が収縮すると、陰嚢の表面には多数のしわができる。すなわち、肉様膜の伸縮によって陰嚢皮膚の伸縮が生じるわけであるが、これにより陰嚢内部の温度調節が行われるといわれる。なお、男子の鼠径ヘルニアの場合には、腸管が精索に沿って陰嚢内にまで下降することがある。[嶋井和世]
精子の形成
精子が形成される曲精細管の管壁には、精子産生のもとになる特殊な精上皮が配列する。精上皮細胞には支持細胞(イタリアの組織学者セルトリE. Sertoliにちなみ、セルトリ細胞ともいう)と精子産生細胞の2種類が区別される。支持細胞は、精子産生細胞の間を埋めていて、精子産生細胞の支持と栄養に関与し、エストロゲンを分泌する。精子産生細胞は思春期の活動期になると、精祖細胞(精原細胞)、一次精母細胞、二次精母細胞(精娘(せいじょう)細胞)、精子細胞(精細胞)から精子へと形態変化をみせる。精母細胞は2回の成熟分裂により、染色体が半数になった精子細胞になる。
 精祖細胞には、A型精祖細胞とB型精祖細胞とが区別されている。A型精祖細胞は、明調な細胞構造をもつ明調A型細胞と、暗調な細胞構造をもつ暗調A型細胞が存在する。A型精祖細胞は幹細胞として増殖分裂を続け、新しいA型細胞を生み出すが、精子形成のルートにのるのは明調A型細胞で、この細胞は5回ほどの有糸分裂をしてB型精祖細胞となる。B型精祖細胞は、1回の有糸分裂をして一次精母細胞を生じるが、この細胞は肥大成長して成熟分裂をおこし、二次精母細胞となる。ついで二次精母細胞は、2回目の成熟分裂により精子細胞となる。
 精巣の曲精細管の周囲を埋めている間質組織の中には、細胞の一種である間質細胞(ドイツの解剖学者ライディッヒF. von Leydigにちなみ、リディッヒの細胞ともいう)があるが、これは男子の第二次性徴ホルモンであるテストステロンや他の2、3の男性ホルモンを分泌する。この細胞は下垂体前葉からの間質細胞刺激ホルモンの支配を受けている。
 ヒトの精子は頭と尾からなり、尾は線毛の構造をなしている。精子の長さは50~60マイクロメートルほどである。頭は4~5マイクロメートルで、先端がとがった、やや扁平(へんぺい)な形をしている。頭はほとんどが細胞核で占められている。頭のすぐ後ろのくびれた部分を頸(けい)とよび、頭と尾の結合部になる。尾の長さは約55マイクロメートルで、前方から中間部、主部、終部に区分する。中間部には糸粒体(ミトコンドリア)が螺旋(らせん)状になって充満しているが、これは精子の運動のための原動力となる部分である。1回の射精で出される精液は、成人男子で1~6ccといわれ、1cc中に含まれる精子の数はおよそ6000万ほどである。[嶋井和世]

女性性器


 女性性器のうち、内性器は卵巣、卵管、子宮および腟(ちつ)であり、外性器は陰裂を囲む大陰唇、小陰唇、陰核、腟前庭などである。卵巣は男子の精巣に相当し、西洋では「女性の睾丸(こうがん)」とよばれたこともある。卵巣は、卵子を生産し、排卵させるが、内分泌器としても働く。[嶋井和世]
卵巣・卵管
卵巣は1対の器官で、位置は骨盤の両側壁で、大骨盤と小骨盤の境よりやや下あたりとなる。扁平(へんぺい)な楕円体(だえんたい)状で、日本人では長さ2.5~3.5センチメートル、幅1.2~1.9センチメートル、厚さ0.6~1.1センチメートル(鈴木文太郎(ぶんたろう)による)で、一般には母指頭大とされる。卵巣の長軸方向はほぼ垂直である。卵巣は、骨盤内で卵巣提索と固有卵巣索とよぶ結合組織線維索で固定されている。卵巣提索は卵巣の上端と骨盤壁とをつなぎ、固有卵巣索は卵巣の下端と子宮底の外側角のところをつないでいる。卵巣提索内には、卵巣動脈、卵巣静脈、神経が含まれて走っている。これらの動・静脈が卵巣に出入りする部分を卵巣門とよぶ。卵巣の位置はしばしば移動する。
 卵管は、卵巣から排出された卵子を、子宮に向かって輸送する左右1対の管である。卵管の外側端は卵巣に接して腹腔(ふくくう)に開く卵管腹腔口となり、内側端は子宮内腔に開口する卵管子宮口となる。日本人の卵管の長さは7~15センチメートルとされる。全長は、外側から卵管漏斗(ろうと)、卵管膨大部、卵管峡部および子宮部に4区分される。卵管漏斗は、卵管腹腔口が漏斗状になって腹腔に開いた部分である。その外側縁には房(ふさ)状の卵管采(さい)がついていて、卵子を卵管内に取り込むのに都合がよくなっている。卵子が卵巣から排出(排卵)されると、卵管采が卵巣表面に吸盤のように密着して、卵子を取り込むといわれる。卵管漏斗から卵管膨大部に移行し、ついで卵管峡部となり、子宮部になる。子宮部は子宮壁に埋没した部分である。卵子と精子の受精は、とくに卵管膨大部で行われるとされるが、受精卵がこの卵管膨大部で着床してしまうと、卵管妊娠となることがある。
 卵管の内壁には、卵管ヒダとよぶひだが発達しており、その表面には線毛をもつ粘膜上皮細胞が配列している。この線毛運動は子宮方向に向かって行われる。また、卵管壁の外層には2層の平滑筋があり、粘膜上皮細胞の線毛運動と、この卵管平滑筋の運動とが卵子輸送の重要な因子となっている。これを支配している神経は自律神経である。[嶋井和世]
子宮・腟
子宮は受精卵を着床させ、出産まで胎児を熟成させる器官で、筋性中腔となっている。小骨盤の中央に位置し、子宮の後ろには直腸があり、子宮の前には膀胱(ぼうこう)が接している。非妊娠時の正常な子宮の形状は前後にやや扁平な西洋ナシ形、あるいはナス状を逆さにした形で、やや前方に傾いている。子宮下端は腟の上部によって包まれている。子宮は、妊娠時にはその大きさ、形態、構造が著しく変化するが、出産後はふたたび、ほとんどもとの状態に戻る。子宮の大きさは、長さ(上下)約7センチメートル、幅(左右)約4センチメートル、厚さ約2センチメートル、重量30~50グラムである。
 子宮の構造は大別して、子宮体と子宮頸(けい)に分けられる。両者の間には軽度のくびれがあり、これを子宮峡とよぶ。子宮体には前面と後面とがあり、左右両側を子宮縁という。子宮体の丸みを帯びた部分を子宮底とよぶが、これは卵管が子宮へ開口する開口部よりも上部をいい、ここから子宮頸部に向かってしだいに細くなる。子宮後面と直腸の間には腹膜が深くくぼみをつくっている。これを直腸子宮窩(か)(スコットランドの解剖学者ダグラスJ. Douglasにちなみ、ダグラス窩ともよぶ)という。この部分は腹膜内の炎症や出血で、膿(のう)や血液の貯留所となり、診断上重要な部位となっている。
 子宮体の外側縁の上端部には卵管が子宮と連結している。また、子宮の前面と後面を覆う腹膜は子宮体の左右外側縁で重なり合い、幅の広い子宮広間膜というひだをつくる。卵管は、このひだに包まれて上縁を横走している。卵管付着部のすぐ下の子宮外側縁からは、子宮広間膜に包まれて前外方に走る線維索があり、これを子宮円索とよぶ。これは骨盤側壁を走り、鼠径輪(そけいりん)から鼠径管を通過して大陰唇の皮下に放散している。子宮円索の中には多少の平滑筋が含まれている。子宮円索は、子宮体を前方に引いて、子宮を前傾位に保持するという保持靭帯(じんたい)の一種である。子宮頸部は子宮の下部3分の1にあたり、円筒状で、内腔は子宮頸管とよばれる。子宮頸管は、腟上部と腟部とに区分される。
 腟の内腔には子宮の出口、すなわち子宮口(外子宮口)が突出している。子宮頸部の外側から伸びて骨盤外側壁に達する横走の靭帯を子宮頸横靭帯といい、子宮広間膜に包まれて、子宮の位置保持の役をしている。腟部の子宮口の外観は、前唇と後唇とからなる口唇状をしており、普通は閉じている。腟前壁と前唇との間を前腟円蓋(えんがい)、後唇と腟後壁との間を後腟円蓋という。子宮壁は内面が子宮内膜(子宮粘膜)で、その外側は子宮筋層となる。子宮筋層は3層の平滑筋からなり、子宮構造の主体を占める。妊娠時になると、筋層筋線維は分裂増殖し、また筋線維も太くなり、平常時の10倍くらいに大きくなる。子宮筋層の外層は子宮外膜で、腹膜の一部である。子宮体の内膜は、卵巣の内部変化に呼応して、思春期以降閉経期まで、性周期にしたがって著しい変化を示す。
 子宮を骨盤壁に固定・支持している組織は、子宮円索、子宮頸横靭帯のほかに、肛門(こうもん)挙筋、恥骨頸靭帯(恥骨後面と子宮頸を結合する)、仙骨頸靭帯(仙骨下部と子宮頸部をつなぐ)などである。なお、腟は子宮の下部につながる部分で、約6~7センチメートルの管状構造である。腟下端を腟口とよび、左右の小陰唇に挟まれて腟前庭に開く。[嶋井和世]
外性器
女性の外性器には、縦の裂溝状の陰裂を囲む左右の大陰唇、小陰唇、その他の陰核、腟および諸付属腺(せん)が含まれる。大陰唇は男性の陰嚢(いんのう)に相当する皮膚ひだであるが、陰裂によって左右に分かれており、豊富な皮下脂肪がある。両側大陰唇が前方で合する部分は皮膚が高まり、恥丘(ちきゅう)(陰阜(いんふ))とよばれる。両部位には、ともに汗腺、脂腺が存在し、思春期以後は陰毛が発生する。陰毛の発生状態は性差のほか、個人差、人種差がみられる。小陰唇は左右大陰唇の内側にみられる皮膚ひだで、腟前庭を囲んでいる。きわめて色素に富み、また血管に富んだ部位である。小陰唇の深部には、海綿状組織が勃起(ぼっき)組織として含まれている。小陰唇の形態は、年齢、性的成熟度、妊娠経験などで変化し、個人差もきわめて強い。小陰唇には、汗腺、脂腺はあるが、陰毛は発生しない。小陰唇が前方で合する部分には、アズキ大に突出した部位があるが、これを陰核亀頭(きとう)とよび、陰核の先端部となっている。陰核亀頭は、腟前庭の左右にある前庭球とよぶ海綿体組織(長さ約3センチメートル)が合したものである。陰核亀頭の上部が陰核体で、内部には陰核海綿体が含まれている。陰核海綿体は恥骨下枝に沿って左右に分かれ、陰核脚を形成している。陰核亀頭、陰核体、陰核脚の三者を総称して陰核とよぶ。陰核は男性の陰茎に相当し、海綿状組織であるため、性的興奮で充血し、勃起する。とくに陰核亀頭には知覚神経が密に分布するため、きわめて敏感な性感帯である。
 腟前庭は左右の小陰唇に囲まれ、尿道、腟および大前庭腺の導管が開口する。尿道の開口部を外尿道口といい、陰核のすぐ後ろにある。それよりさらに1センチメートルほど後ろが腟口となる。腟口の左右両側の深部には、大前庭腺(デンマークの解剖学者バルトリンC. T. Bartholin Jr.にちなみ、バルトリン腺ともいう)がある。この腺は腟前庭を潤す無色の粘稠(ねんちゅう)な分泌物を出す。大前庭腺は、細菌感染により炎症(バルトリン腺炎)をおこしたり、導管の閉塞(へいそく)でバルトリン腺嚢腫(のうしゅ)をおこしたりする。なお、性交経験のない女性の腟口の後側縁には、薄い粘膜ひだが半月状にあり、これを処女膜とよぶ。[嶋井和世]
卵子の形成
卵子を生産する卵巣の構造をみると、表面に腹膜の続きである胚(はい)上皮が配列しており、その下には膠原(こうげん)線維を含む結合組織からなる白膜(はくまく)がある。卵巣が白くみえるのはこの白膜のためである。卵巣内部は緻密(ちみつ)な結合組織で、卵巣支質といい、外側の皮質と内部の髄質とに分けられる。両者の境は明瞭(めいりょう)ではないが、髄質中には多数の血管、リンパ管、神経線維が走っている。皮質にはさまざまな発育状態にある卵胞が存在する(幼若な卵胞は皮質表面に近くみられる)。卵胞は変化して卵祖細胞(卵原細胞)になるが、胎児期の卵巣の皮質には卵祖細胞がみられる。卵祖細胞は、出生直前まで分裂増殖を続けていくが、出生前に減数分裂前期の状態でとどまり、それ以後は、そのまま卵母細胞になる。新生児の卵巣内には、両方の卵巣をあわせて40万個もの卵胞がみられるが、これらの卵胞は、1個ずつ扁平な卵胞上皮細胞に周りを取り囲まれており、この状態の卵胞を一次卵胞とよぶ。一次卵胞はしだいに成熟するが、やがて分裂増殖で多層となった卵胞上皮細胞層に包まれて、二次卵胞となる。二次卵胞の卵胞上皮細胞はますます多層化するが、その後、この多層の卵胞上皮細胞間に大きな液腔ができて卵母細胞は一側に押しやられる。この状態の卵胞をグラーフ卵胞(オランダの解剖学者グラーフR. de Graafにちなむ)とよび、大きさは直径2センチメートルにも達する。これが排卵直前の卵胞である。発育過程にある卵胞は、比較的深層に存在するが、排卵直前の発達した卵胞になると、皮質に大きく広がり、卵巣表面に盛り上がってくる。また、排卵を終わったあとの卵巣は、黄体組織によって埋められ、黄体組織を構成する黄体細胞は、プロゲステロン(黄体ホルモン)を産生・分泌する。受精が行われた場合、黄体組織は妊娠黄体となり、受精が行われなかった場合は月経黄体となる。また、黄体組織は、妊娠が成立しないと結合組織性の白体組織になり、吸収されてしまう。このように、卵巣の組織構造は、出生時、小児期、性的成熟期、あるいは閉経期によって構造が異なるほか、性周期によっても変化する。
 卵母細胞の染色体数は体細胞と同じである。思春期になって性成熟を迎えると、排卵現象の発現にあわせて一次卵母細胞は成熟する。排卵が始まるすこし前になると、一次卵母細胞は第1回の成熟分裂(減数分裂)を行い、二次卵母細胞(卵娘(らんじょう)細胞、卵子)となる。引き続き第2回の成熟分裂に入るが、この分裂は受精が行われると完了する。胎生期から存在する卵巣内の卵胞は、生後はしだいに減少し、閉経期にはほとんど消失してしまう。その間に、およそ28日に1個ずつの卵胞が完全に成熟して、卵胞が破れて卵子が排卵される。したがって、女性の生殖能力期間において排卵にまで達する卵胞は、約400個とされている。
 卵巣の排卵現象の発現と同時に、子宮粘膜も周期的な変化を示す。すなわち、子宮内膜は約28日を1周期として変化を繰り返すこととなる。月経が終了すると、その直後から子宮内膜は増殖期に入り、しだいに肥厚して2~3ミリメートルの厚さとなる。分泌期(卵巣の黄体期に一致して、子宮粘膜の分泌活動が盛んになる時期)になると、子宮内膜はさらに厚くなり、5~7ミリメートルほどになる。この時期には子宮腺が発達し、粘液分泌も多くなる。また、螺旋(らせん)状のラセン動脈が発達してくる。しかし、受精がおこらなかった場合には、排卵後2週間ほどで、ラセン動脈の収縮と、酸素不足による内膜表層の組織破壊(壊死(えし))がおこる。そして血管の収縮がとれると、内膜表層の壊死組織の剥脱(はくだつ)とラセン血管からの鮮血の出血が生じ、月経となる。月経終了とともに内膜の表層部は修復され、ふたたび機能が回復される。月経によって剥離する内膜表層部を機能層とよび、月経で残る内膜の基底部を基底層とよぶ。これらの子宮内膜の変化は、卵巣ホルモンのエストロゲン、プロゲステロンの働きによって行われるものである。[嶋井和世]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

性器の関連キーワード生殖器崇拝雄性先熟栄養体生殖器官泌尿器ジェニタリア子器受精嚢生殖器標的器官

今日のキーワード

カルテット

四重唱および四重奏。重唱,重奏の形態のなかで最も基本的なもので,声楽ではルネサンスの多声歌曲の形式であるシャンソンやフロットラから始り長い歴史をもつ。器楽も同様で,特に弦楽四重奏は室内楽の全レパートリ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

性器の関連情報