動すれば（読み）ややもすれば

精選版 日本国語大辞典

ややも‐すれば【動すれば】

〘副〙 物事がとかくそうなりがちであるさまを表わす語。なにかにつけて。なにかというと。ややともすると。ともすれば。どうかすると。またしても。ややもすると。ややもせば。ややとして。ややむすれば。

※宇津保（970‐999頃）楼上上「大将は、院・内裏・春宮・殿と、おぼつかなからぬ間に参り給ふ。又ややもすればめされ給ふ」

[補注]「やや」は「稍」で少し怠る意〔大言海〕といい、「する」は「ある」の意で、「少し何かがあると」の意味。「ヤヤムスレハ」の形は音便形。

ややむ‐すれば【動すれば】

〘副〙 「ややもすれば（動━）」に同じ。漢文訓読系統の文で用いる。

※大日経義釈延久承保点（1074）三「動(ヤヤムスレハ)規矩に合し、心疑滞无くして」

ややとも‐すれば【動すれば】

〘副〙 (「ややもすれば（動━）」を強めていう語) ともすれば。どうかすると。ややともすると。ややとも。

※虎寛本狂言・千鳥（室町末‐近世初）「やうがましいでは無れども、ややともすれば此樽を取りたがるに依て」

出典　精選版 日本国語大辞典