デジタル大辞泉 「千鳥」の意味・読み・例文・類語
ちどり【千鳥】[作品名]
狂言。太郎冠者が、千鳥を捕らえるまねや津島祭の話などをして酒屋の亭主の目をごまかし、
鈴木三重吉の処女小説。明治39年(1906)「ホトトギス」誌に発表した短編。夏目漱石が絶賛したことでも知られる。
田中千禾夫の戯曲。昭和34年(1959)、俳優座が初演。
狂言。太郎冠者が、千鳥を捕らえるまねや津島祭の話などをして酒屋の亭主の目をごまかし、
鈴木三重吉の処女小説。明治39年(1906)「ホトトギス」誌に発表した短編。夏目漱石が絶賛したことでも知られる。
田中千禾夫の戯曲。昭和34年(1959)、俳優座が初演。
( 1 )「万葉集」では、淡水の水辺に棲むものを詠んだものが多く、特に奈良市内の佐保川のものが詠まれ、後世まで続く。
( 2 )平安時代の和歌では海辺に棲(す)むものも詠むようになり、海の場合は月と、川の場合は霧と取り合わせ、鳴き声を聞いて物思いすると歌うことが多い。冬に日本にいる種は少ないが、冬の季語とするのは、「堀河百首」で冬の題としたことの影響か。
( 3 )鳴き声をチと聞いて、「しほの山さしでの磯に住む千鳥君がみ代をばやちよとぞ鳴く〈よみ人しらず〉」〔古今‐賀〕のように、祝賀の意を持たせることがある。後世には「チリチリ」〔虎明本狂言・千鳥〕、「チンチン」〔歌謡・松の葉‐三・ちんちんぶし〕と聞きなす。これらによれば語源は鳴き声からとするのが妥当か。
( 4 )浜などに印する足跡を取り上げることがあるのは、古代中国の蒼頡が鳥の跡を見て文字を作った故事によるとする説がある〔顕昭古今集註〕。
狂言の曲名。太郎冠者狂言。大蔵,和泉両流にある。主人は太郎冠者を呼び出し,支払いのとどこおっている酒屋へ行き,今度も代金なしに酒を買ってこいと言いつける。冠者は,酒屋が話好きなのにつけこみ,伊勢の浜辺で見た千鳥を伏せるところの話を始める。まず酒屋に〈浜(はんま)千鳥の友呼ぶ声は〉と囃させ,自分は〈チリチリヤ,チリチリ〉とうたいながら酒樽を千鳥に見立てて持って行こうとするが,酒屋に制止される。次に津島祭に山鉾(やまほこ)を引き回すようすを見せようと,これも酒樽を山鉾に見立てて綱で引き寄せるが失敗する。最後に流鏑馬(やぶさめ)の模様に話題を転じ,馬に乗るまねをして走り回りながら隙(すき)を見て酒樽を奪って逃げるのを,気がついた酒屋が追い込む。登場人物は主人,太郎冠者,酒屋の3人で,太郎冠者がシテ。中世の風俗や庶民感情が太郎冠者の闊達(かつたつ)な演技をとおして生き生きと描かれる。《天正狂言本》には《浜千鳥》の名で出てくる。
執筆者:羽田 昶
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
狂言の曲名。太郎冠者(かじゃ)狂言。主人は太郎冠者(シテ)に、支払いのたまっている酒屋へ行ってまた代金なしに酒を求めてこいと言いつける。思案に暮れながらも酒屋に出向いた冠者は、なんとか言いくるめて樽(たる)に酒を詰めさせはしたが、さすがに酒屋も容易に樽を渡してくれない。そこで津島祭のようすを語って聞かせることにし、まず途中の浜辺で見た千鳥を伏せるところから始め、千鳥に見立てた酒樽(さかだる)を持って行こうとするが見破られる。次に山鉾(やまぼこ)を引くようすをみせようと、酒樽に綱をつけてたぐり寄せるが、これも失敗。今度は流鏑馬(やぶさめ)の模様をまねて、酒屋に人払いの役を与え、自分は射手になり馬に乗った体で走り回りながら、すきをみて酒樽を持って逃げて行く。以上は大蔵流の筋で、和泉(いずみ)流には山鉾のくだりはない。冠者の計略の成否がスリルを感じさせる、緻密(ちみつ)に構成された曲。津島祭は愛知県津島市の津島神社の祭礼でいまに伝わる。
[林 和利]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
目次 飼養文化 北アメリカ 北方ユーラシア偶蹄目シカ科の哺乳類。北アメリカでは野生種はカリブーcaribouと呼ばれる。角が雄だけでなく雌にもふつうある。体長130~220cm,尾長7~20cm,...