化学辞典 第2版 「化学量数」の解説
化学量数
カガクリョウスウ
stoichiometric number
一つの反応方程式で表される化学反応が,いくつかの素反応過程から成り立っているとき,全反応が1回生じるために必要な素反応の生じる回数を,それぞれの素反応の化学量数という.アンモニア合成反応
N2 + 3H2 = 2NH3
の反応過程を,
(1) N2 → 2N(a)
(2) H2 → 2H(a)
(3) N(a) + H(a) → NH(a)
(4) NH(a) + H(a) → NH2(a)
(5) NH2(a) + H(a) → NH3
とすると,各素反応(1)~(5)の化学量数はそれぞれ1,3,2,2,2となる.(a)は吸着状態を表す.平衡付近での全反応の定常速度をV,正方向の速度を,反応原系の活量をaとすると,律速段階となる素反応の化学量数νは,
で表される.したがって,同位体トレーサーの利用によるの測定および反応の動力学的研究から化学量数を求め,律速段階を推定することができる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報