活量(読み)カツリョウ

デジタル大辞泉 「活量」の意味・読み・例文・類語

かつ‐りょう〔クワツリヤウ〕【活量】

活動度

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精選版 日本国語大辞典 「活量」の意味・読み・例文・類語

かつ‐りょうクヮツリャウ【活量】

  1. 〘 名詞 〙 混合気体や溶液において化学ポテンシャルを与える構成成分の実質的濃度。溶液や混合気体では、理想状態とは異なり、蒸気圧浸透圧沸点凝固点などは各成分のモル分率から算出する値と異なる。これは分子間の相互作用によるもので、活動度ともいう。

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化学辞典 第2版 「活量」の解説

活量
カツリョウ
activity

活動度ともいう.理想溶液あるいは完全混合気体の成分i化学ポテンシャルμiid は,その濃度を xi とすれば,

μiidμ°iRT ln xi

となる.ここで,RおよびTはそれぞれ気体定数および絶対温度であり,μ°i は用いられた濃度尺度に対する標準化学ポテンシャルである.一方,現実の溶液においては,分子間相互作用のため,その性質は理想溶液からずれ,上式は成り立たない.しかし,このずれの影響をすべて濃度の項に含ませて,実在の溶液の成分iでの化学ポテンシャル μi に対しても形式的に

μiμ°iRT ln ai

のように書き,この ai を成分iの活量あるいは活動度という.さらに,活量 ai を濃度 xi で割った量

fiai/xi
活量係数,あるいは活動度係数という.活量係数に対するこの定義と上記の二つの式より,実在溶液の化学ポテンシャルと理想溶液のそれとの差,すなわち過剰化学ポテンシャル μiex は,次式で表される.

μiexμiμiidRT ln fi

式よりわかるように,理想溶液からのずれはすべて活量係数にしわ寄せされることになり,実在溶液の性質は,活量係数の挙動の解析から明らかにできることになる.一般に,濃度の表し方としては,モル分率,質量モル濃度モル濃度の3種類が用いられるので,各濃度尺度に対応して,それぞれの活量および活量係数が定義される.十分希薄な溶液では,それぞれの濃度尺度に対応する活量係数は,いずれもほとんど同じ値をとるが,濃度が高くなるにつれて相互にかなりの差が現れてくる.電解質溶液においては,溶質は中性分子の電離によって生成するイオンである.個々のイオンに対しては形式的には上述と同様に,その活量および活量係数を定義することができるが,これらの量は実測できず,熱力学的意味をもたない量である.しかし,これらの量は,熱力学的関係式のなかには,個々ではなく,つねにカチオンおよびアニオンの量が互いに組み合わさって電気的に中性の形で現れる.したがって,その幾何平均をとり,それぞれイオンの平均活量および平均活量係数が定義され,用いられる.たとえば,電解質 AxBy の溶液では,平均活量 a± および平均活量係数 f± は,次のように与えられる.

a±xyaxayf±xyfxfy

ここで,aa および ff は,それぞれカチオンおよびアニオンの活量および活量係数である.活量あるいは活量係数は蒸気圧,沸点,凝固点,溶解度,浸透圧などの測定により決定される.また,電解質溶液に対しては可逆電池を用いて,その平衡電圧の測定によっても決定できる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「活量」の意味・わかりやすい解説

活量
かつりょう
activity

活動度ともいう。溶液や混合気体の物理化学的な諸性質,たとえば蒸気圧降下,浸透圧,凝固点降下などの大きさは0次近似ではその溶液中に含まれる成分の濃度で決るが,実際には分子間力による分子同士の相互作用があるため,実際の濃度をあてはめても,これらの諸性質の実測値とは合わない。また化学平衡の際にも質量作用の法則は反応物質や生成物質の実際の濃度を適用するときには厳密に成立しない。そこでこれらの諸性質や法則が成立するために実際の濃度の代りに用いるべき量を活量という。つまり活量は,分子間相互作用がないと考えた場合の理想化された濃度であり,実効濃度としての意味をもつ量である。したがって,熱力学的な考察をする場合には実際の濃度の代りに活量が使われる。溶液のi 成分の活量,実際の濃度,および化学ポテンシャルをそれぞれ aixi ,μi とすると, の関係がある。 は標準状態におけるi 成分の化学ポテンシャルと呼ばれる定数である。また活量と実際の濃度の比 ai/xi を活量係数という。すなわち活量係数は実効濃度である活量が実際の濃度からずれる度合を示す。活量は温度,圧力,組成によって変化する。また理想溶液では活量と実際の濃度は一致し,活量係数も1に等しい。活量は理論的にデバイ=ヒュッケルの理論で求められる場合もあるが,実際は蒸気圧,浸透圧,沸点上昇,凝固点降下,電池の起電力などから実測される。

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改訂新版 世界大百科事典 「活量」の意味・わかりやすい解説

活量 (かつりょう)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「活量」の意味・わかりやすい解説

活量
かつりょう

活動度

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世界大百科事典(旧版)内の活量の言及

【活動度】より

…溶液の一種の実効濃度で,活量ともいう。実在系に対する熱力学理論の展開において,G.N.ルイス(1907)により導入された概念である。…

※「活量」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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