精選版 日本国語大辞典 「化学反応」の意味・読み・例文・類語
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ある物質がそれ自身で、あるいは他の物質との相互作用によって、他の物質に変わる現象。この場合、物質を構成している原子どうしの間で組み替えがおこるが、原子の数はこの相互作用の前後で変わらない。化学変化と同義語であるが、とくにその過程に注目するときに化学反応という。この過程を表すのに用いるのが化学反応式である。化学反応は種々の見方から、たとえば熱反応、光化学反応、触媒反応、燃焼反応あるいは反応する種類からするイオン反応、ラジカル反応、核反応、また反応機構からする酸化還元反応、重縮合反応、付加反応、置換反応、連鎖反応、不均化反応などとよばれる種類がある。また有機反応では、反応に加わるもの、反応の種類により、水素化反応、エステル化反応、加水分解反応などとよぶ。
[戸田源治郎・中原勝儼]
反応に関与する変化前の物質(原系の物質、反応物)を左辺に、変化後の物質(生成系の物質、生成物)を右辺にそれぞれ化学式で表し、反応の際の量比(モル比ともいい、最小整数比)を掛けて相互の関係を示したものである。たとえば
2H2+O2=2H2O (1)
H2+Cl2→2HCl (2)
3H2+N22NH3 (3)
式(1)のように等号で両辺を結んだものを、とくに化学方程式という。このとき反応に伴う熱量の出入も記すときは、熱化学方程式という。
化学反応は、十分に時間が経過したあとでは平衡に達する。この平衡が原系または生成系にずっと傾いているために、反応条件を変えても、見かけ上その方向にしか反応がおこらないものを不可逆反応(式(2))、平衡で原系の物質も生成系の物質もある量ずつ存在し、原系または生成系の物質を増やせば、平衡が移動する、すなわち、どちらの方向へも反応が進むものを可逆反応という(式(3))。
[戸田源治郎・中原勝儼]
平衡に向かう反応の速さを反応速度という。この速度は反応するものの濃度(気体の場合は圧力によっても表される)、反応時の温度、触媒の有無、その他の条件によって支配される。反応速度の反応物濃度への依存は反応次数で表される。速度が原系のある物質の濃度に比例する場合を一次、2乗に比例する場合を二次などという。反応物それぞれについての次数の合計を反応の次数という。この次数により反応を一次反応、二次反応などと区別する。
反応速度を規定する反応速度定数kの温度依存性はアレニウスの式で表される。
k=A exp(-Ea/RT)
Eaを活性化エネルギー、Aを頻度因子といい、いずれもその反応に特有の定数である。この式でみるとおり、温度(絶対温度)Tが上昇すれば、速度は急激に大きくなる。通常の反応では室温付近で10℃温度が上がれば、速度は2から4倍くらいになる。水素と酸素との混合物は、室温で混ぜただけでは反応をおこさないが、白金などの触媒を加えるとほとんど瞬時に反応が完結する。
[戸田源治郎・中原勝儼]
化学反応のおこる仕組みを反応機構という。反応機構は、反応がおこるときのエネルギー変化(たとえば反応熱)や、反応速度を支配する諸パラメーターを調べることによって解明される。一つの化学反応は、いくつかのそれ以上分けられない反応(素反応という)から成り立つ場合が多い。いいかえれば、化学反応は一つあるいはいくつかの素反応から構成される。反応機構を調べるときには、普通まず反応がどんな素反応から成り立っているかを調べ、そのうえでその素反応のなかでの速さの大小を比べる。素反応のなかでもっとも遅い素反応を律速素反応(または律速反応、律速段階)という。反応するものがすべて気相中にある場合を気相反応、液相にあるものを液相反応、そして固相にあるものを固相反応という。これらの場合はいずれも均一相の反応であるが、反応物が二つの相にまたがって存在する場合を不均一反応という(たとえば、固体の触媒と反応物が気体または液体からなる系の反応は不均一触媒反応という)。反応速度は理論的にいくつかの方法、たとえば、気相反応の衝突説、遷移状態法、絶対反応速度論などによって取り扱われる。
[戸田源治郎・中原勝儼]
『長倉三郎・細矢治夫著『化学反応の機構』(1970・東京化学同人)』▽『福井謙一著『化学反応と電子の軌道』(1976・丸善)』▽『渡辺義一著『化学反応式の作り方』3訂版(1995・黎明書房)』▽『竹内敬人著『化学反応のしくみ』(2000・岩波書店)』▽『戸嶋直樹他編、松本正勝・山田眞二・横澤勉著『有機化学反応』(2005・朝倉書店)』
(市村禎二郎 東京工業大学教授 / 2007年)
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