日本歴史地名大系 「北海道史」の解説
北海道史
ほつかいどうし
三冊 北海道庁 大正七年刊
解説 いわゆる開道五〇年の記念出版。近代史学の方法による始めての北海道通史。編纂の中心は長野県出身の河野常吉。明治二七年来道以来、北海道庁事業手・嘱託として開拓地調査や拓殖事業に関する報告書、雑誌の編集などにたずさわり、道内の歴史・地理に通暁する第一人者となった。道庁吏員として国有未開地処分の不正などにつき長官へ再三建言もした。河野常吉の自信と直言の姿勢は北海道史編纂にも反映し、当局の理解もなく、事業の中断につながった。
構成 第一(古代―後幕領時代)、附録(管轄略譜、年表、統計表)、同(地図)。以上のうち附録(管轄略譜ほか)の一冊は配付される事なく関東大震災で焼失したが、若干部数が持出されており、昭和五〇年北海道出版企画センターから「河野常吉著作集」別巻一として復刻出版された。当初の編纂計画では、大正五年までの歴史三冊、附録三冊(人名字彙、参考図書解題を含む)であった。河野にはその準備があり、関連原稿および史料も多数残され、のちの北海道史編集や研究に利用された。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報