十輪院町(読み)じゆうりんいんちよう

日本歴史地名大系 「十輪院町」の解説

十輪院町
じゆうりんいんちよう

[現在地名]奈良市十輪院町

薬師堂やくしどう町の東に所在。「じゅうるいん」ともいう。「奈良曝」に「町役三十軒」とあり、「大乗院雑事記」長禄元年(一四五七)一二月一三日条には竜花院りゆうげいん郷のうちに十輪院郷がみえる。大永五年(一五二五)の御領内元興寺領地口銭(内閣文庫文書)によれば春日社田楽頭役方のため「十輪院々内」で二一間分(一間につき三〇文)の地口銭がかけられた。「奈良坊目拙解」によれば元禄一一年(一六九八)の家数三二、号所一、竈数三八。

なお「春日社記録」中臣祐賢記の弘安三年(一二八〇)五月六日条に小五月こさつき郷のうちとしてみえる桶井おけい郷は「坊目遺考」に引く元興寺観音堂記録に「買取在涌井家地事合東西四間五尺七寸三分者在大和国添上郡元興寺東郷十輪院間(中略)右買取之状如件元徳三年辛未二月日」と記された「涌井」と同所とみられ、十輪院町付近と考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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