単独行動主義(読み)タンドクコウドウシュギ(その他表記)unilateralism

翻訳|unilateralism

デジタル大辞泉 「単独行動主義」の意味・読み・例文・類語

たんどくこうどう‐しゅぎ〔タンドクカウドウ‐〕【単独行動主義】

政治経済地球環境などの国際問題について、他国と協調せず、自国の力のみによって対処しようとする考え方一国主義単独主義ユニラテラリズム。→二国間主義多国間主義

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「単独行動主義」の解説

単独行動主義

米ブッシュ政権の、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准放棄、京都議定書からの離脱などの行動は、「単独行動主義だ」と米国内外から批判されている。単独行動主義(ユニラテラリズム)とは、二国間の交渉と合意を重視する二国間主義(バイラテラリズム)や、全ての関係国が対等な立場から目標と枠組みを作り、そのルールに基づき行動する多国間主義(マルチラテラリズム)と対比される言葉。その特徴の第一は、他国との協力より自国の力に依存する傾向。反対を押し切って開戦したイラク戦争は、その例である。第二に、自国の理念・国益を国際社会全体の目標と強弁する独善性。第三に、外交交渉・多国間の決定枠組みからの制約を嫌い、単独行動する傾向。米国のCTBTの批准放棄はその典型。背景には、近年、米国が国連などの多国間組織で多数から支持を得られないことへの苛立ちもある。もともと米国には、アメリカだけが世界だ、という孤立主義と、その裏返しとして世界をアメリカ化しようとする世界的介入主義との振り子運動の伝統があるが、このブレがグローバル化の深まる現代に、これまで以上に単独行動主義だと国際的に意識されるようになった。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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