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政治 せいじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

政治
せいじ

政治の最も一般的なイメージは,ある一定のルールのもとに存在する支配=服従の関係としての政治であろう。政治学者 R.A.ダールは,社会における権力現象全般を政治ととらえる立場から,政治を権力,ルール,権威を含む関係全般として定義できるとする。こうした見解には,政治の独自性を政府と国民との公の関係からとらえようとする立場から反論があることには留意する必要があろう。中世までは政治と社会は概念的には未分化で,政治とは社会活動の全般をさすものであった。社会が政治から独立し,その上位の概念となったのは近代の資本主義社会の成立以降のことである。社会学者 T.パーソンズは政治を,経済とともに社会を構成するサブシステムとしてとらえている。経済との関係でいえば,市場の原理が適合されない,いわゆる非市場の選択のうち最大のものが政治だということができよう。

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デジタル大辞泉の解説

せい‐じ〔‐ヂ〕【政治】

主権者が、領土人民を治めること。まつりごと。
ある社会の対立利害を調整して社会全体を統合するとともに、社会の意思決定を行い、これを実現する作用

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世界大百科事典 第2版の解説

せいじ【政治 politics】

政治ということばは,さまざまな意味で用いられる。それは今日,国家における政策決定の過程や制度を指して用いられることが多いが,しかし,国家をこえた国際社会での権力闘争(国際政治)や国家内諸集団での意思決定(私的政治)をめぐっても,しばしば用いられてきている。このような広い用例の核にあるのは,集団や社会には一般に,その成員全体を拘束する統一的な決定をつくりだす機能が存在するという認識であり,その機能あるいはそれに付随するさまざまな現象を指して,政治あるいは政治的ということばが用いられてきたということができる。

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大辞林 第三版の解説

せいじ【政治】

統治者・為政者が民に施す施策。まつりごと。
国家およびその権力作用にかかわる人間の諸活動。広義には、諸権力・諸集団の間に生じる利害の対立などを調整することにもいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

政治
せいじ
politics

政治を表す西欧の語は、古代ギリシアの都市国家であるポリスpolis、およびそれから派生したポリテイアpoliteia(市民権、国家)その他の関連語に由来する。英語のポリティックスpoliticsは、初め徒党や派閥を組む人々の活動に対する悪口として用いられたが、近代の政党制、代表制の確立とともに非難めいた意味はなくなった。しかし今日でも、英語では、政治といえば「汚い仕事」という連想が残っており、低劣な政治家をポリティシャンpolitician(政治屋)とよんで、ステーツマンstatesman(国士)と区別することがある。さらに英語のポリティックスについていえば、それは、政治の現実ないし過程を表すとともに、それを研究する政治学を意味することもある。またドイツ語のポリティークPolitikは政治と政策の両方の意味があり、英語のようにポリシーpolicy(政策)という別の語をもっていないから、そのいずれを意味するかに注意しなければならない。[飯坂良明]

政治とは何か―概念と定義

政治とは何か、あるいは政治とは何を意味するかという問いに対する解答は、観察者、研究者のもっている経験や問題意識によって異なる。さらにまた政治ということばそれ自体がもっている語源的な意味に影響される面がある。すでにみたように政治にあたる西欧語は、ポリス(都市国家)に由来したところから、政治をポリスの業務、すなわち国家の仕事として考える見方が広まるようになった。このように政治を国家の統治行為とするとしても、国家の形態や性格は歴史とともに変化してきているので、より一般的に、人間の公共生活あるいは共同生活に必要な業務の遂行や問題の処理を表すことばとして理解されている。そこで、政治を、国家に特有のものとして限定的にみるか、それとも、人間が集団生活をするところ、そこに政治があるとみるべきかは、観察者の問題関心によって異なる。前者の立場を「政治国家現象説」、後者を「政治集団現象説」とよんで区別することがあるが、後者の立場をとる場合でも、政治が国家というもっとも制度化された集団のなかにおいて典型的、集約的に現れることについては異存がない。ともあれ今日では、政治は国家にとどまらず、国際社会やあるいは各種の集団にみられる現象であるという考え方がより一般的となりつつあるといえよう。
 今日では、政治を「集団の政策(意思)決定過程」とみる見方、あるいはそれに類した規定の仕方が一般的に行われている。この場合の「集団」はもちろん国家や地方自治体にとどまらず、いろいろな社会集団や、国内的、国際的団体を含む。また「政策決定過程」とは、広義には目標の選択、目標達成方法の決定、そしてそれらの実施あるいは実行の全過程を表す。「政策決定」policy-makingは「政策形成」と表現される場合もあり、また「意思決定」decision-makingは「決定作成」という表現が用いられることもある。政策決定と意思決定とは同じ意味に用いられることもあるが、意思決定のほうがより広い意味に用いられている。政策決定は政府の行為に関して用いられることが多く、また、政治に関して意思決定の語が用いられる場合、たとえば選挙は一つの意思決定過程ではあっても、狭義における政策の決定ではない。けれども、政治過程全体をさして政策決定過程という場合には、政策決定者を支持するものとしての選挙もその一部に含まれる。いずれにしても政治を政策決定過程とみる見方は、伝統的政治学の静態的、制度論的な政治の見方に対して、政治の動態や過程を重視する行動論的政治学あるいは現代政治学とよばれる立場にたつ政治の定義であるといえよう。この政治の見方はH・ラスウェルによって代表されるが、もう1人の代表的なアメリカの政治学者D・イーストンは、政治を「社会に対する価値の権威的配分」と定義した。これもラスウェルの政治の定義と同工異曲である。というのは、政治は、形式的にいえば「政策決定過程」であり、内容的にいえば「価値の権威的配分」ということになるからである。
 こうして、政治を「国家」という制度・構造から説明するのではなく、逆に「国家」を政治という過程・機能から説明しようとするところに行動論的な政治の定義ないし見方の特色がある。そして政治という機能が認められる限り、それが「国家」とはいえないような「原始社会」や「種族社会」であっても、これを政治研究の対象とすることができる。[飯坂良明]

政治の本質的特徴

政治とは何かという政治の意味、あるいは政治をして政治たらしめる本質的特徴が、政治概念、そして政治の定義には含まれていなければならない。
 ところで、政治を政策(意思)決定という角度からみる場合、そこに当然「権力」の問題が関連してくる。なぜなら「権力」はラスウェルによれば、「意思決定への参加」にほかならないからである。この面からいえば、「政治」は「権力過程」であり、また「権力関係」という流動的な状況を抜きにしては考えられない。決定作成過程に参加し影響力を行使するには、暴力行使や利益誘導、さらには理性的説得から宣伝やシンボル操作に至るまで種々の方法がある。したがって、政治にとって不可欠な要素としては、暴力ないし実力、利益や価値、情報や知識、そして思想やイデオロギーなどがあり、またこれらのものを組み合わせて行使するための組織や集団、さらにこうした決定作成をめぐって権力闘争が行われる際のルールや手続、制度なども政治には不可欠である。
 政治は権力をめぐる、そしてまた権力を基礎とした決定作成過程であるが、権力関係はきわめて流動的、可変的であって、市民社会の段階から大衆社会、情報化社会へと社会の性格が変化するにつれて、社会の人々の意識や相互関係がますます流動化し、権力の基盤や態様も変化する。たとえば、今日ではマス・メディアが政策決定に大きな影響を及ぼすに至る。また社会の変化につれて政治の争点も変化する。たとえば、豊かな社会の登場とともに、経済的、物質的利益をめぐる争点から、生きがいや環境の問題といった「生活の質」あるいはライフ・スタイルの見直し、そして高齢化社会における福祉や生きがいの創出などに関連する施策に、政治の争点は移行する。
 政治においては、以上のような絶え間ない流動化、状況化がみられるとともに、他方で権威の正統性や秩序の安定を求める制度化の過程が進行する。この過程のなかで支配と被支配、エリートと大衆といった役割や機能の分化が固定化される。こうして政治においては状況化が進めば進むほど不安定となり、制度化が進みすぎると政治は硬直化して自発的政治参加が低下する。政治には両者のバランスがたいせつである。
 今日の政治では、一方で政治参加の幅が広がれば広がるほど、他方で官僚制が肥大し管理化が進行するという二律背反がみられる。
 また一方で政治的無関心が増大すればするほど、他方で政治的ラディカリズムの運動も進行するという矛盾がみられる。
 さらにまた、現代の政治では、個人の私生活化、非政治化が進行するとともに、社会の政治化が進展してあらゆるものが政治に組み入れられていく。「孤独なる群衆」の増大とともに、「集団の噴出」が至る所におこって政治過程にそれぞれ影響する。
 政治は、価値や目標をめぐる闘争であるとともに、手段や方法の選択をめぐる闘いでもある。ところで、政治に価値や目標を提供するものが「神話」であり、手段、方法を提供するものが「技術」である。こうした観点からいえば、政治はR・M・マッキーバーのいうように、神話と技術の複合体であり、そのどちらを欠くこともできない。神話は、イデオロギーや信念という形で人間の非合理的な意思や感情に訴え、技術は、それが自然科学的技術であるにせよ、組織化、制度化といった社会的技術であるにせよ、人間の合理性に訴えかける。神話を人々に植え付けるために種々の政治的儀式がつくりあげられ、演劇的効果が盛り上げられる。他方、技術は有効な手段としての効率を優先させ、ときとして独裁的支配や大量虐殺といった非人間化を促進することがある。
 こうして政治は、自己のうちに二律背反的要素を含み、天使にも悪魔にも奉仕するというあいまいさをもち、しかも人間の運命を決定的に左右するという深刻な側面をもっているから、政治の本質を見極め、これに正しく対処することが不可欠である。
 ところで政治は、人間の社会的、集団的共同生活を維持し、存続させるための共同的決定作成過程であることはすでに述べたが、この営みによって人間の生活条件が改善され、社会的環境の整備が図られる。これを政治の順機能とよび、これに逆行するような政治の働きを政治の逆機能という。いうまでもなく政治の順機能の促進は、共同生活を営むすべての人の責任である。
 政治は、現状の不備を改善し、人間の共同生活のためのよりよい環境を形成するという目的を志向するものとして、未来づくりをその本質的特徴の一部とする。政治は未来の形成に重大な関係をもつ。しかも今日では、未来形成のための予測や計画が、それに必要な情報の収集や処理によって、従来よりもはるかに正確かつ迅速になされるようになった。けれども未来形成にはつねにまた多かれ少なかれリスクが伴うことも否定しえない。したがって政治にはつねに賭(か)けの要素があり、決断を必要とする。とりわけ危機的状況においては政治における決断の要素が重要となる。未来づくりのための賭けを回避するとき、政治は守旧的、現状維持的となり、自ら危機を招くに至る。
 歴史の転換期にたたされているといわれる今日、政治のもつ未来形成的機能は改めて注目される必要がある。今日、政治はグローバル(地球的)なかかわりをもつとともに、未来へのかかわりをもつことが、強調されなければならない。[飯坂良明]

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世界大百科事典内の政治の言及

【統治】より

…特定の少数者が権力を背景として集団に一定の秩序を付与しようとすること。政治とほぼ同義に用いられることが多いが,厳密に解すれば,統治は少数の治者と多数の被治者との分化を前提とし,治者が被治者を秩序づけることを意味するのに対して,政治は,少なくとも,対等者間の相互行為によって秩序が形成されることを理想としている。こうした差異を端的に示しているのは,政治と統治の言語としての差異であろう。…

※「政治」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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