日本大百科全書(ニッポニカ) 「原虫感染症」の意味・わかりやすい解説
原虫感染症
げんちゅうかんせんしょう
単細胞生物である原虫(原生動物)の寄生によって種々の症状がおこる感染症の総称。ヒトに感染する原虫として、赤痢アメーバ、リーシュマニア、マラリア、トリパノソーマ、トキソプラズマ、ランブリア、トリコモナス、バランチジウム、コクシジウムが知られている。これらの多くは熱帯、亜熱帯地域に広く分布している。わが国にみられる重要な原虫感染症としては、妊婦感染による先天性水頭症の原因として疑われているトキソプラズマ、女性の腟(ちつ)感染症として知られるトリコモナス、第二次世界大戦後流行したアメーバ赤痢がある。
寄生性原虫の特徴は、新宿主に移行する前、または一時外界に存在するとき、特殊な抵抗型を生じたあと本来の形態に復する形態変化である。抵抗型は嚢子(のうし)(チストcyst)あるいは胞子(スポルspore)となることが普通である。抵抗型以外の形態で無性的分裂増殖をするものを栄養型とよぶ。
[松本慶蔵・山本真志]