赤痢アメーバという原虫による大腸の感染症で、世界で年間約5千万人の感染者、4~10万人の死亡者がいると推定されています。赤痢アメーバの
ほかの寄生虫感染症に比べ、日本でも多くの感染が発症しているので注意が必要です。年間700~800人の届け出があり、4~5年前と比較すると約1.7倍増加しています。死亡例は年間数例です。感染した人の8~9割は海外渡航歴がなく、ほとんどの場合が男性同性愛者または知的障害者です。国内では食中毒として発生するケースはほとんどありません。
感染しても症状が現れるのは5~10%程度です。粘血便、下痢、しぶり腹、
増悪時は腸
糞便中あるいは膿瘍液中の赤痢アメーバ原虫を顕微鏡で確認することで診断がつきます。
同時に、赤痢アメーバの主要抗原蛋白質を免疫酵素抗体法で検出したり、赤痢アメーバのDNAをPCR法で増幅することにより、直接赤痢アメーバの存在を証明する方法が最も確実です。
また、患者さんの血液のなかに赤痢アメーバに対する抗体があるかどうかを調べる方法も一般的で、専門の研究・検査機関に一般の病院・医院からでも依頼検査ができます。
メトロニダゾール(フラジール)、チニダゾールの経口投与が一般に有効です。重症の患者さんにはデヒドロエメチンの静脈注射も行われます。嚢子保有者にはメトロニダゾールのほかにフロ酸ジロキサニドが用いられ、有効な場合もあります。
腸炎の症状を示す場合は細菌性の赤痢、潰瘍性大腸炎、クローン病などと間違われることがあります。アメーバ赤痢は一般に全身状態がよく、増悪・寛解を繰り返すことがよくあります。腸穿孔、腸管外播種などになると命に関わるので、症状に気づいたら内科・感染症科などを受診する必要があります。
野崎 智義
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…赤痢とは発熱,下腹部痛,粘液・血液を混じた頻回の下痢,しぶりばらtenesmus(裏急後重)を主要症状とする法定伝染病で,主として大腸粘膜の潰瘍性炎症を伴う腸管感染症である。その病原体によって細菌性赤痢とアメーバ赤痢に分類される。
[細菌性赤痢bacillary dysentery]
病原体である赤痢菌は1897年志賀潔によって発見され,志賀の名にちなんでShigellaという属名がつけられた。…
※「アメーバ赤痢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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