熱帯(読み)ねったい(英語表記)tropical zone

  • 熱帯 tropical zone

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

赤道を取り巻く低緯度地帯で,高温多雨の気候帯数理気候では南北回帰線に挟まれた地帯をいう。これに対し,等温線で気候帯を分けた A.ズーパンは,ヤシ貿易風の極限界とほぼ一致する年平均気温 20℃以上の地帯とした。また植生を基準としたウラジーミル・P.ケッペン気候分類では,最寒月の月平均気温が 18℃以上で,乾燥限界以上の降水量がある地域をさす。太陽の熱と光によって気温と降水に恵まれ,可容人口は高く,ヤシに代表されるように,動植物とも熱帯特有の種やが分布する。

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デジタル大辞泉の解説

赤道を中心として南北両回帰線に挟まれた地帯。気候的には年平均気温がセ氏20度以上、または最寒月の平均気温がセ氏18度以上の地域をいい、回帰線よりやや広い。

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世界大百科事典 第2版の解説

温度帯の一つで,一般的には赤道を中心として南北両回帰線に挟まれた地帯を指す。太陽高度が高く,年2回天頂を通過する時期がある。気候的には年平均気温が20℃以上というズーパンAlexander Supanの定義と最寒月平均気温18℃以上というW.P.ケッペンのものがある。熱帯には冬がないともいわれ,気温の年較差が小さいのが特徴で,日較差の方が大きい地域とも定義できる。雨量は概して多いが,雨季乾季の別が明瞭である。

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大辞林 第三版の解説

赤道を中心にして南北両回帰線に挟まれた地帯。一年のうち二回太陽が天頂を通過する。気候的には年平均気温が摂氏20度以上または最寒月の月平均気温が摂氏18度以上の地帯で、おおよそ椰子やし樹の生育地帯と一致する。 マテオ・リッチによる造語。坤輿万国全図職方外紀の伝来後広まる

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地理学的には、赤道を中心に南北両回帰線(緯度23度26分)に挟まれた地帯をさす。1年を通じて太陽高度が高くて、四季区別がほとんどない。天頂を太陽が通過する春分と秋分の少しあとにやや気温が高くなるが、平均20℃以上である。気温による定義ではドイツの気候学者ケッペンのように最寒月でも18℃以上の地域を熱帯とする場合もある。両回帰線付近は乾燥地帯であるが、赤道に向かうにつれて降水量は増し、赤道直下の熱帯雨林地域に達する。熱帯海上には台風やハリケーン、サイクロンなどの卵である熱帯低気圧が発生しやすい(コリオリの力がゼロの赤道上では発生しない)。熱帯雨林気候のほか、熱帯季節風気候熱帯モンスーン気候)、熱帯草原気候(サバンナ気候)と、三つの気候区からなっている。現在では数多くの開発途上国が分布しているが、古代ギリシア時代には高地を除いては非居住地域(アネクメネ)の一つでさえあった。[福岡義隆]

植生

赤道を中心として南北20度にわたる地域のうち、年間を通じて降水量の多い東南アジア、中央アフリカ、南アメリカでは熱帯降雨林が発達する。東南アジアではフタバガキ科が、その他ではマメ科の樹木が主となる。降水量が少なくなるにつれてサバンナ、刺(とげ)低木林へと変化する。なお、広義の熱帯では常緑広葉林帯(常緑広葉樹林帯)を意味し、照葉林帯(照葉樹林帯)もこれに含まれる。東南アジアの熱帯山地の森林は照葉林と類縁の深い種類が多いため、照葉林は東南アジアに起源するといわれる。[大場達之]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 地理学的には赤道を中心として南回帰線と北回帰線にはさまれた低緯度地帯。気候的にはやや広範囲で、年平均気温が摂氏二〇度以上、または最寒月平均気温が摂氏一八度以上の地帯をいう。四季の区別がほとんどなく、昼夜の長さの差が小さい。
※管蠡秘言(1777)「戯論五行〈略〉南北の極は共に冷帯、赤道は中にして熱帯、赤道の南と北とに各正帯あり」
[語誌](1)マテオ=リッチ(一五五二‐一六一〇)による造語。「坤輿万国全図」や「職方外紀」の伝来後、蘭学者を中心に日本でも広く用いられたが、「二儀略説」では「暑帯」が、長久保赤水や橋本宗吉の地図では「暖帯」が使われた。
(2)「暖帯」は明治初期、福沢諭吉の「世界国尽」、久米邦武の「米欧回覧実記」にまで残っているが、のち「熱帯」に統一された。

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