改訂新版 世界大百科事典 「召次」の意味・わかりやすい解説
召次 (めしつぎ)
院の御所(上皇の居所)で雑事に従った下級の職員。時を奏したり院御幸に供奉したりした。詰所を召次所といったので転じて召次を召次所と呼ぶことがある。統率にあたる者を召次の長といい,年労の者を長に任じた。院の庭に伺候したので御坪(壺)召次ともいう。召次の収入源としては丹波国桑田郡の召次保のほかに,最勝光院敷地の半分が召次衣服料に充てられていた。なお,五院六勝寺などの御願寺の敷地は南北朝期には召次と牛飼等に宛て行われていたので,最勝光院以外にも召次の経済的なよりどころがあった可能性がある。召次の活動を知るものとしては,院宣を持って屋島へ赴いた御坪の召次花方(《平家物語》)や,土御門上皇が土佐国へ配流(はいる)されたときに北面(ほくめん)とともに供奉した召次(《増鏡》)などがある。
執筆者:清田 善樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報