名残無し(読み)なごりなし

精選版 日本国語大辞典 「名残無し」の意味・読み・例文・類語

なごり‐な・し【名残無】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙
  2. あとに残って以前をしのぶよすがになるものすらない。きれいさっぱりと、ない。
    1. [初出の実例]「名残なく燃ゆとしりせば皮衣思ひの外におきて見ましを」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. し残したことや見残したところがない。
    1. [初出の実例]「立ち出でて、いみじく名残なくも見つるかなとのたまへば」(出典:枕草子(10C終)四九)
  4. いままでのゆきがかりやしこり影響などが少しも残っていない。
    1. (イ) 今までとはうってかわったさまである。
      1. [初出の実例]「よろづの涙留めしのぶべきここちもせずなりて、なごりなく御簾の内に入れたてまつりて」(出典:浜松中納言物語(11C中)一)
    2. (ロ) きれいさっぱりと思い切ったさまである。
      1. [初出の実例]「なごりなきさまに背きはてさせ給ひておはしませば」(出典:栄花物語(1028‐92頃)煙の後)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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