精選版 日本国語大辞典 「味気無」の意味・読み・例文・類語
あじき‐な・い あぢき‥【味気無】
① 乱暴で手がつけられない。道にはずれていて、どうにもならない。
※源氏(1001‐14頃)若紫「わが罪のほどおそろしう、あぢきなきことに心をしめて生ける限りこれを思ひなやむべきなめり」
※書陵部本名義抄(1081頃)「無端 アヂキナシ」
② 努力するかいがない。する意味がない。無益、無用だという感じだ。
※古今(905‐914)春上・三四「やど近く梅の花植ゑじあぢきなくまつ人の香(か)にあやまたれけり〈よみ人しらず〉」
※方丈記(1212)「さしもあやふき京中の家をつくるとて、宝を費し、心を悩ます事は、すぐれてあぢきなくぞ侍る」
※伊勢物語(10C前)八九「人知れず我こひ死なばあぢきなくいづれの神になき名おほせん」
④ 胸がしめつけられるように耐え難い。やるせない。
⑤ やるせないほどに魅力的である。何とも言えず美しい。
※玉塵抄(1563)二六「天気もよいころにあたたかに世界も花などの香がにをうてあぢきなうなって花はさきみだれて」
[語誌]「万葉集」に見える「あづきなし」(「小豆無」などと表記)が転じたものか。「日本書紀」の「無道」「無状」にあてた古訓や古辞書などの「無端」「無情」の訓みなどを始め、平安時代以降には「あぢきなし」となり、現代語の「あじけない」は、さらにこの語が転じたもの。
あじきな‐が・る
〘他ラ四〙
あじきな‐げ
〘形動〙
あじきな‐さ
〘名〙
あじけ‐な・い あぢけ‥【味気無】
〘形口〙 =あじきない(味気無)③
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報