朝顔(読み)アサガオ

デジタル大辞泉の解説

あさ‐がお〔‐がほ〕【朝顔】


ヒルガオ科の蔓性(つるせい)の一年草。茎は左巻き。葉は大きな切れ込みがある。夏の朝、らっぱ状の花を開く。種子は漢方で牽牛子(けんごし)といい、緩下剤などに用いる。東アジアの原産で、奈良時代に薬用植物として中国から渡来。江戸初期より園芸植物として栽培され、多くの品種が作られた。牽牛花。槿花(きんか)。しののめぐさ。 秋》「―や昼は錠おろす門の垣/芭蕉
キキョウの別名。〈新撰字鏡
ムクゲの別名。〈名義抄
カゲロウ(蜉蝣)の別名。
朝顔の花の形をしたもの。漏斗状の器物や、管楽器の先端部。また特に、男子用便器のこと。
朝起きたばかりの顔。
「ねくたれの御―見るかひありかし」〈・藤裏葉〉
襲(かさね)の色目の名。表裏とも縹(はなだ)色
焼き麩(ふ)をいう女房詞
源氏物語第20巻の巻名。また、その巻の女主人公の名。光源氏32歳。朝顔との恋愛、紫の上の嫉妬(しっと)を描く。
[補説]書名別項。→槿

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デジタル大辞泉プラスの解説

朝顔

古典落語の演目のひとつ。上方ばなし。「朝顔買い」とも。

朝顔

日本のポピュラー音楽。歌は女性演歌歌手、松原のぶえ。1993年発売。作詞:たかたかし、作曲:弦哲也。

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大辞林 第三版の解説

あさがお【朝顔】

ヒルガオ科のつる性の一年草。つるは左巻き。多くは三裂した葉をつける。夏から初秋にかけての早朝、漏斗形の花を開き、昼前にしぼむ。熱帯アジア原産。日本には奈良時代に薬草として中国から伝来。江戸後期に観賞植物として急速に広まり、多くの改良品種が作り出された。種子を牽牛子けんごしといい、下剤とする。牽牛花。 [季] 秋。 《 -に釣瓶とられて貰ひ水 /千代 》
漏斗形のもの。特に、男の小便用の便器。
かさねの色目の名。表・裏ともに縹はなだまたは空色。老人が秋に用いる。
キキョウの異名。 〔新撰字鏡〕
ムクゲの異名。 〔名義抄〕
朝の寝起きの顔。 「野分のあしたの御-は心にかかりて恋しきを/源氏 藤袴
焼き麩をいう近世女性語。 「ぼたもちを萩の花、麩焼ふのやきを-/評判記・色道大鏡」
源氏物語の巻名。第二〇帖。
[句項目] 朝顔の花一時

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

朝顔 (アサガオ)

学名:Pharbitis nil
植物。ヒルガオ科の一年草,園芸植物,薬用植物

朝顔 (アサガオ)

植物。桔梗・旋花・木槿の古名

朝顔 (アサガオ)

植物。ヒルガオ科の多年草,薬用植物。ヒルガオの別称

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精選版 日本国語大辞典の解説

あさ‐がお ‥がほ【朝顔】

[1] 〘名〙
[一] 朝起きたときの顔。寝起きの顔。女性の、情交の翌朝の顔をいうことが多かった。あさがたち。
※大和(947‐957頃)八九「垣ほなる君があさがほ見てしがな返りてのちは物や思ふと」
※枕(10C終)二七八「殿おはしませば、ねくたれのあさがほも、時ならずや御覧ぜんと、ひき入る」
[二] 植物。
① ヒルガオ科の一年草。アジアの原産で、日本で園芸植物として発達し、江戸時代、嘉永・安政年間(一八四八‐六〇)には非常に多くの品種が作られ、薬用としては平安時代初期から栽培されていた。茎は左巻きのつる性で物に巻きつき、長さ二メートル以上になる。全体に粗い逆毛が生えている。葉はふつう三裂し、長い柄があり、互生する。夏の早朝、直径一〇~二〇センチメートルのじょうご形の花を葉腋(ようえき)に一~三個つける。花は早朝開花し、午前中にしぼんでしまう。花の色は品種によって白、紅、青、紫など。また、それらが交じりあって縞や絞りの模様をつくるものもある。にほんあさがお。しののめそう。牽牛花(けんぎゅうか)。かがみぐさ。蕣花(しゅんか)。→朝顔の。《季・秋》
※本草和名(918頃)「牽牛子、和名 阿佐加保」
※俳諧・蕪村句集(1784)秋「朝がほや一輪深き淵のいろ」
② (二)①の種子。漢方で下剤、利尿剤として古くから用いられた。黒白二種あり、それぞれ黒丑(こくちゅう)、白丑ともいう。牽牛子(けにごし)
※延喜式(927)三七「四味理仲丸廿剤〈略〉牽牛子丸五剤〈略〉牽牛子(あさがほ)三斤十三両」
③ 植物「ききょう(桔梗)」の異名。
※新撰字鏡(898‐901頃)「桔梗 二八月採根曝干、阿佐加保」
④ 植物「むくげ(木槿)」の異名。
※蘇悉地羯羅経寛弘五年点(1008)「木菫(アサカホ)の花計得剣花〈略〉等亦用ゐる応からず」
[三] (二)①の花の形をしたものをいう。
① 上が狭く、下が開いている天窓。朝顔窓
※雑俳・柳多留‐四四(1808)「暮合に朝㒵の咲く呉服店」
② 燭台のかこい。ともしびが消えぬように、枠に紙をめぐらしたもの。
※歌舞伎・四天王産湯玉川(1818)二番目「朝顔(アサガホ)付きの手燭(てしょく)を持って送りの見え」
③ 銭箱の中へ銭を落とし入れるために取りつけたじょうご状のもの。
※歌舞伎・四千両小判梅葉(1885)二幕「内に掛硯大帳此側に朝顔(アサガホ)附の大銭箱(おほぜにばこ)
朝顔形のコップ。
浄瑠璃・本領曾我(1706頃)三「るりびいどろのあさがほで、みりんしゅのんでましますは」
⑤ 小便所の陶製、または木製の便器。本来は朝顔形のもののみをいうが、転じて、洋式便所の朝顔形でないものにもいう。〔東京語辞典(1917)〕
※陰翳礼讚(1933‐34)〈谷崎潤一郎〉「分けてもあの、木製の朝顔に青々とした杉の葉を詰めたのは」
⑥ 新聞売り、豆腐屋、煮豆屋、駅夫などが振った鈴。振り鈴。〔東京語辞典(1917)〕
⑦ 紋所の名。朝顔の丸、五つ朝顔、朝顔枝蔓丸、細輪に六つ朝顔などがある。
⑧ ホルンやトランペットなどの金管楽器で、吹き口と反対側の先端に開いているじょうご状の部分。
[四] 昆虫「かげろう(蜉蝣)」の異名。あさがおむし。
※山彦冊子(1831)二「あさがほ〈略〉毛詩の古訓に、蜉蝣をあさがほと訓みたるも、朝生夕死と云に就て、猶彼の牽牛子のはかなき方より、転れる名なり」
[五] 青磁色の襲(かさね)の色。検非違使が用いた。表裏とも、空色、または縹(はなだ)色ともいう。
※胡曹抄(1480頃)「あさかほ 表裏花田、としよりのきる也」
[六] (ひ(日・火)にあてればしぼむところからいうか) 焼麩(やきふ)をいう女房詞。ふのやき。〔かた言(1650)〕
[2]
[一] 「源氏物語」第二〇番目の巻の名。また、その主人公「あさがおの君」をいう。
[二] 謡曲。小田切能登作。三番目物。(一)によったもの。
[三] (蕣) 講釈。芝屋司馬叟(しばそう)の長話の一つ。またその主人公の名。熊沢蕃山(ばんざん)の事跡を語ったもの。浄瑠璃「生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)」などのもとになった。
[語誌](1)上代における「あさがお」については諸説あって決めがたいが、桔梗とするのが無難。
(2)「万葉集」では秋の野に咲く花として親しまれていたことがわかる。平安時代には、朝咲いて夕方にはしぼむ花というはかないイメージが持たれ、「和漢朗詠‐上・槿」「あさがほをなにはかなしと思ひけむ人をも花はいかが見るらむ〈藤原道信〉」のように、花の命の短さと無常観を結びつけて歌うようになる。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典の解説

朝顔
〔長唄〕
あさがお

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
文化13.5(江戸・中村座)

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