古くは呉音読みで「ごもつ」といったが、現代では普通漢音読みで「ぎょぶつ」という。両者が混同された「ぎょもつ」といういい方もある。
「ぎょもつ」「ごもつ」ともいう。天子の用いる品を意味する中国古代からの用語。今日では一般に宮内庁または皇室家の所有品をさす。厳密には第二次世界大戦前の御物管理規定(帝室の所蔵品のなかでとくに優れたものを御物に定める法)にのっとるもので、現在、管理は宮内庁によっているが、所蔵は侍従職の私物および国有財産になっているものもある。古くから皇室家に伝わる品々や近年買い上げられたものに至るまで名品が多い。正倉院宝物をはじめ、『法華経義疏(ほけきょうぎしょ)』『聖徳太子画像』『春日権現霊験記(かすがごんげんれいげんき)』(国宝)、狩野永徳(かのうえいとく)筆『唐獅子図屏風(からじしずびょうぶ)』(国宝)などは有名である。なお、室町時代以降、将軍家の什宝(じゅうほう)にもこの呼称を用いた。足利義政(あしかがよしまさ)にちなんだ東山御物(ひがしやまごもつ)、徳川家の柳営御物(りゅうえいごもつ)などがある。
[村重 寧]
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「ごもつ・ぎょもつ」とも。中国では天子が用いたり所蔵する品をいい,日本では天皇あるいは皇室の所蔵品と室町幕府・江戸幕府の将軍家の所蔵品をいう。御物の語を用いるのは南北朝期以後で,古代において天皇の所蔵品をどのようによんだかは不明。江戸中期以降,足利家蔵品は東山御物,徳川家蔵品は柳営御物とよび,明治期以降には天皇家の御物を帝室御物とよんだ。正倉院の宝物も正倉院御物とよばれたが,第2次大戦後に国有財産に移管されてからは正倉院宝物とよぶ。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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