商船テナシチー(読み)しょうせんてなしちー(その他表記)Le Paquebot Tenacity

日本大百科全書(ニッポニカ) 「商船テナシチー」の意味・わかりやすい解説

商船テナシチー
しょうせんてなしちー
Le Paquebot Tenacity

フランスの劇作家ビルドラックの三幕戯曲。1920年ジャック・コポーによりパリのビュー・コロンビエ座で初演。テレーズはある港町のカフェ・レストランのウェートレスとして働いている。そこへパリから元印刷工の若者が2人、自由な新天地をカナダに求め、そこに渡ろうとしてやってくる。ところがカナダ行きのテナシチー号が故障、やむなく2人がとどまる間にテレーズをめぐって三角関係が進展、内気で夢見がちなセガールが彼女に惚(ほ)れていっしょにカナダに行こうとしているうち、積極的でリアリストのバスチアンが彼女を得、つまるところバスチアンはカナダにはたたずに彼女と駆け落ちし、セガールはひとり寂しくカナダにたって行く。パニョルのマルセイユものとも似て、よき時代をしのばせる詩情豊かな人生の哀歓のドラマである。34年、ジュリアン・デュビビエ監督が作者と共同で脚色して映画化し、これによって日本でも多くのファンを得た。

[渡辺 淳]

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