港町(読み)みなとまち

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

港町
みなとまち

海岸,湖岸,河岸の中心交通や物産の集散地として栄えた。古代における大輪田泊 (おおわだのとまり) は有名であるが,港町は中世に入って大いに発達した。瀬戸内海沿岸では兵庫,神崎,尼崎があり,近畿地方では淀,大津,坂本が,越前では敦賀,三国湊が代表的な港町であった。各地の港町には荘園からの年貢米,運上物の集散のため問,問丸が発達し,倉庫も建てられた。中世後期では,泉州堺が有名であり,納屋衆の支配する自治都市としてヨーロッパにも存在が知られた。近世には,各地の特産物を生産する産業が藩営,民営を問わず興隆し,それらの物資輸送の役割を果す港町は諸藩でも特に重視した。港湾施設の充実とともに新しく商人を招き廻船業務を担当させた。江戸幕府でも,国内の重要な港町を直轄領として各港町に奉行をおき,港町行政を行わせた。直轄港町のなかでも,長崎は寛永年間 (1624~44) 以降国際貿易都市として栄え,オランダ,中国との貿易のみならず,異国文化を摂取する窓口としても特異な存在であった。明治維新後,物資運航が蒸気船に変更されたため,各港町は水深が浅くて使用に耐えず,鉄道の発達その他の理由も重なって次第に衰えていった。

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百科事典マイペディアの解説

港町【みなとまち】

古代末期以降の港湾に成立した商業集落,または商業都市。中世には荘園年貢物の積出し・保管・販売を中心として発達し,14世紀以後商品輸送の増大で急激に発展。近世は鎖国によって海外貿易が長崎に限定されたため,他の港町は国内流通の中継地としての役目を果たした。→港湾
→関連項目都市

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世界大百科事典 第2版の解説

みなとまち【港町】

〈みなと〉とは元来〈水の門〉の意で,瀬戸あるいは川口を指す。日本では港町といえば城下町門前町宿場町市場町と並んで近代以前の歴史的都市分類に包含され,現代の港湾都市と区別されることもあるが,両者は同義語である。港というのは船舶が容易に出入し安全に停泊して,旅客・乗客の乗降往来,ならびに物資の積卸や取引などが迅速にかつ危険なくできるように設備を整備した場所である。この機能を維持するために防波堤や停泊埠頭などの港湾施設や関連する付属機関施設が設けられ,さらにそれらの関連産業人口が集中して都市的集落が形成されることになる。

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大辞林 第三版の解説

みなとまち【港町】

港が中心となって交通や商業活動が行われている町。

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日本の地名がわかる事典の解説

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

港町
みなとまち

港湾設備をもち、流通機能を果たす水陸交通の拠点集落をいう。古代日本の律令(りつりょう)制下では、内外交易の拠点として難波(なにわ)・博多(はかた)の両津を定めて、官営の交易を行っていた。地方の国府は、中央との連絡に便利な水陸交通の要地を選んで設けられ、その外港として国府津(こうづ)(国津(こづ))をもつものがあった。荘園(しょうえん)が発達すると、それから納められる貢租は水路によって輸送されることが多く、鎌倉時代に入ると荘官級名主(みょうしゅ)層が問丸(といまる)となって輸送を管理していた。北陸の小浜(おばま)や瀬戸内海の尾道(おのみち)・兵庫などは全国的な水路の輸送基地として知られた。近世に建設された城下町には直属港湾がつくられて全国的な軍役体制がつくられていた。また当時南蛮貿易をはじめとして外国との交易が行われ、内政策のため蔵入地(くらいりち)を設けて中央への廻米(かいまい)納入を強制したりしたので、港町は大きく発展した。近世初頭から全国の諸平野で新田開発が進められると、三角州や扇状地平野を流れる川々の沿岸には、諸藩の貢米や日用貨物の輸送基地として藩倉や河岸(かし)が設けられて内陸の港町(蔵(くら)町)が発達していった。やがて幕末には開港を契機として横浜、函館(はこだて)その他の大資本を投入した近代的大港湾都市が形成されることになるのである。[浅香幸雄]
『浅香幸雄著『中世の集落・近世の都市』(『新地理講座 第7巻』所収・1953・朝倉書店) ▽豊田武・児玉幸多編『流通史1』(『体系日本史叢書13』1969・山川出版社) ▽豊田武・児玉幸多編『交通史』(『体系日本史叢書24』1970・山川出版社) ▽高瀬保著『加賀藩海運史の研究』(1979・雄山閣出版)』

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