日本大百科全書(ニッポニカ) 「パニョル」の意味・わかりやすい解説
パニョル
ぱにょる
Marcel Pagnol
(1895―1974)
フランスの劇作家。マルセイユ郊外オーバニュの農家に生まれる。1922年パリに出て、高校の教師を勤めながら友人と合作で戯曲を書く。独力の作『トパーズ』Topaze(1928)で大成功を収め、第二の故郷マルセイユを舞台に『マリウス』Marius(1929)、『ファニー』(1931)、『セザール』César(1936)の三部作を完成する。土着の男女の頑固でおおらかな気質に、そこはかとなきペーソスを交えて描いた作風はいまも新鮮である。第二次世界大戦後は『ユダ』(1955)、『フェビアン』(1956)などの歴史劇で舞台に帰ったが昔日の観はない。トーキー以後、自作の戯曲の映画化に際しては脚本・監督にも乗り出している。『笑いに就いて』などの随想、幼少時の小説もある。46年アカデミー会員に選ばれた。
[本庄桂輔]
『永戸俊雄訳『ファニー』(1962・角川書店)』