善積郷(読み)よしづみごう

日本歴史地名大系 「善積郷」の解説

善積郷
よしづみごう

和名抄」は諸本とも訓を欠くが「色葉字類抄」国郡部に「吉つみ」、「節用集」に「善積よしづみ」とあるからヨシツミであろう。ただし天平宝字六年(七六二)五月一日の近江国符案(正倉院文書)奈良東大寺の封戸郷として「高島郡葦積郷」とみえ、「阿志都弥あしとみの神社」(「延喜式」神名帳)ともあるのでアシツミとも称したらしい。

善積郷は、子田上こたかみ杣が「在近江国高島・善積両郡」とあるように善積郡とも書かれた(治暦四年三月二九日「太政官牒写」近江布留宮清信氏所蔵文書)。「拾芥抄」「節用集」などにも同郡名が記されるが、行政区画としての善積郡は存在しないため、あるいは善積郷に成立した善積庄が広大であったために善積郡と通称されるようになったものと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android