嘶ふ(読み)イバウ

デジタル大辞泉 「嘶ふ」の意味・読み・例文・類語

いば・う〔いばふ〕【×嘶ふ】

[動ハ下二]《「いばゆ」の音変化》いななく。
「駒北風に―・ふれは」〈虎明狂・牛馬

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「嘶ふ」の意味・読み・例文・類語

いば・ういばふ【嘶】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ハ行下二段活用 〙いばえる(嘶)伊呂波字類抄鎌倉)〕
    1. [初出の実例]「駒ほくふうにいばふれば」(出典:虎明本狂言・牛馬(室町末‐近世初))
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙いばえる(嘶)
    1. [初出の実例]「Babilonia ノ コマノ ibǒuo(イバウヲ) キイテ」(出典:天草本伊曾保(1593)ネテナボ帝王イソポに御不審の条々)

嘶ふの語誌

( 1 )古辞書の例は活用がはっきりしないが、下二段「いばゆ」が古い形なので、それから転じたと見られる「いばう」も初めは下二段と推定した。
( 2 )「いばふ」とハ行に表記する形はハ行音の転呼による動詞活用行の混乱の結果、鎌倉時代になって生じたものである。
( 3 )中古では下二段活用(ヤ行)であったが、室町時代になって下二段活用(ヤ行・ハ行)の他に四段活用(ハ行)との両形が併用される。

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