改訂新版 世界大百科事典 「噴泉塔」の意味・わかりやすい解説
噴泉塔 (ふんせんとう)
sinter cone
温泉噴出口に生じた石灰華,あるいはケイ華などの沈殿物よりなる塔。塔の先端に温泉が噴出する小孔がある。数cmから大きいものでは数mの高さに達する。カルシウム炭酸水素塩に富む温泉が地表に湧出し,炭酸ガスCO2の分圧の低下によって,溶存していた炭酸カルシウムが沈殿し石灰華型噴泉塔を生ずる。また,高温泉が地表に湧出し低温になると溶存していたケイ酸がケイ華として沈殿し,ケイ華型の噴泉塔が形成される。日本では石川県岩間温泉,岩手県夏油(げとう)温泉,栃木県奥鬼怒(きぬ)温泉湯沢などで立派な石灰華型噴泉塔を見ることができる。アメリカのイェローストーンのマンモス・ホット・スプリングズ,中国チベット中部の竜馬爾(ロンマエ)温泉には数mに達する石灰華型噴泉塔がある。
執筆者:大木 靖衛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報