国分古墳(読み)こくぶこふん

改訂新版 世界大百科事典 「国分古墳」の意味・わかりやすい解説

国分古墳 (こくぶこふん)

愛媛県今治市桜井に所在した前方後円墳。唐子山と呼ぶ,燧(ひうち)灘にのぞむ独立丘陵の東部尾根上に,北面して築かれていた。全長44m,後円部径25m,前方部幅12mをはかる。古墳は発掘調査を経ずに破壊された。後円部に竪穴式石室があったらしく,また出土品として,三角縁神獣鏡,四獣鏡,玉類,銅鏃刀剣,農工具,土師器(はじき)が知られる。鏡はともに中国鏡である。三角縁神獣鏡は吾作三神三獣鏡で,同笵鏡が存在する。四獣鏡には〈尚方作〉の銘がある。古墳の営造年代は4世紀中葉にあたる。なお,唐子山山塊には,弥生時代から古墳時代に至る多数の小型墳墓が営まれている。前方後方墳の雉之尾(きじのお)古墳,前方後円墳のお茶屋池古墳が所在し,ともに4世紀に編年できる。今治市域は,愛媛県下では,前期古墳の多い地域として注目される。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 川西

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android