古墳の一形式。方丘の一側に長方形台状の施設を付加した形をとる。前方後円墳の円丘部を方丘にしたもので,墳形以外の点では両者に共通するところが多く,密接な関係にあったものと思われる。しかし,前方後円墳に比べ,数の上では圧倒的に少なく,現状では200例余りが知られているにすぎず,墳丘規模も相対的に小さく,最大でも全長約180mを測るにすぎない。古墳時代前期のものが多く,その地方の最古の古墳が前方後方墳である場合や,古墳群形成の最初が前方後方墳である場合がある。しかし島根県や関東などでは,後期のものも少なくない。九州から東北南部にかけて広く分布するが,偏在性が強く,島根,石川,岡山,栃木,奈良などの県に多い。近年,東日本を中心に,弥生時代に普遍的な墳墓形式である方形周溝墓と前方後方墳との中間的な形態のものが多く発見され,古墳発生の過程を知るうえで大いに注目されている。
→古墳
執筆者:和田 晴吾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
方形の主丘に方形の墳丘を付した形の古墳。前方後円墳の円丘部を方丘にかえたもので,名称も前方後円墳にならう。古墳時代初期からみられるが,数は前方後円墳よりはるかに少ない。分布密度に濃淡があり,畿内・那須・出雲などにとくに多い。古墳前・中期に多くみられるが,出雲では後期にも造られた。また地域の最古の古墳が前方後方墳であるところも多い。最近,前方後方形周溝墓が発見され始め,前方後方墳との関係が注目される。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 日本の古墳の墳丘は,工法からいえば,土を盛って作った土塚と,石を積みあげた積石塚とがある。形態からいえば,規模の小さい円墳,方墳と,大型のものをふくむ前方後円墳,前方後方墳とがあり,特定の時期にあらわれたものとして,前期の双方中円墳,中期の帆立貝式古墳,後期の双円墳および上円下方墳などがある。また,外形の種類と関係なく,古墳には周濠のないものと,周濠をめぐらすものとがある。…
※「前方後方墳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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