国際的な伝達手段としての英語。現在では国際的な意思疎通の手段として英語が用いられる機会が多く,英語圏の人々と接触する場合はもとより,英語圏以外の人々のコミュニケーションにも英語が有力な手段となっている。英語には,地域的・社会階層的な変種が数多く存在する。イギリス英語・アメリカ英語などはよく知られているが,このような母語としての英語のほかに,フィリピンではフィリピン特有の英語が,インドではインド特有の英語が使われている。この種の非母語英語はそれぞれの地域の諸事情に応じた使われ方をする中で土着語の干渉を受けて母語英語とはかなり異なった発音・文法・語彙 (ごい) 体系を持つに至っている。たとえば西アフリカでは"We should leave now, is it?"のような付加疑問の用法があり,また"hot drink"といえばアルコールのことを指す。英語の非母語変種は非常に多岐にわたるが,その違いによって相互の意思疎通が図れなくなるというわけではない。このような変種の存在を尊重した上で英語を国際語として使っていこうというのが国際英語を提唱する人々の立場である。